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巨大ITに毎年報告義務、禁止行為の明記は見送り 政府規制法案

 政府は28日、デジタル市場競争会議を開き、「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業の規制強化に向けた新法案の概要を決めた。大規模なインターネット通販やアプリストアの事業者を対象に、取引条件の開示や、運営状況を政府に毎年報告することを義務付け、弱い立場の取引先企業を不当な契約から守る。ただ、特定の行為を「禁止事項」として明記せず、巨大IT企業の技術革新を阻害しないよう配慮した。法案は今通常国会に提出する。

 新法案「特定デジタルプラットフォームの透明性および公正性の向上に関する法律案」は、ネット通販を展開する米アマゾン・コムや楽天、スマートフォン向けアプリストアを運営する米アップルやグーグルなど、国内外の数社を当面の対象とする。

 法案では、取引を拒否する判断基準など取引条件の開示や、契約変更の事前通知を要請した。海外企業でも国内管理人などを通じて、取引先の苦情に適切に対応するといった体制整備も求める。従わない場合には勧告、公表。それでも是正されなければ、当該行為を改めさせる措置命令も可能とした。

 取引条件の開示や適正な取引のための体制整備について、毎年1回、経済産業省への報告を義務付ける。経産省は報告を分析、評価した上で公表する。

 独占禁止法違反の恐れがある場合は、公正取引委員会に対応を要請。公取委は独禁法の優越的地位の乱用の適用などを検討する。

 一方で、特定の行為を法律上明示して禁じる「不当行為の禁止」は法案に盛り込まなかった。IT分野の変化が速いことを背景に、「イノベーションを阻害する懸念」(西村康稔経済再生担当相)があるからだ。

 ネット通販では、出店者はシェアの高い巨大ITと取引せざるを得ない。アプリ開発者も同様に、シェアの高いアップルやグーグルのアプリストアを通じ販売するのが一般的だ。こうした力関係の差が、契約を一方的に変更するといった不公正な取引の温床になっているとされ、政府は規制強化を検討していた。

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