海外情勢

パプア、中国からの“援助”野ざらし

 パプアニューギニアの首都ポートモレスビーを訪れると、港湾沿いの空き地で野ざらしになっている数十台の大型バスや車が視界に飛び込んできた。目をこらすと見覚えのあるデザイン。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が行われた2018年11月に街中を走っていた関係者移動用の車両だった。

 パプアでの大型国際会議はAPECが初めて。ポートモレスビーはインフラが未整備で直前まで開催が不安視されたが、特に中国が熱心に支援して実現にこぎ着けた。

 当時も今もポートモレスビーで目につくのが、中国の援助を受けたことを示す「CHINA AID」の表示。野ざらしになっていたバスの車体にも、このマークが入っている。地元住民によると、小回りの利く小型バスの方が重宝されるため使い道がないのだという。

 中国はAPECに合わせてパプアの国会議事堂前から真っすぐに延びる片側3車線の「独立大通り」も建設。開通式には習近平国家主席が出席し「人々に利便性と繁栄をもたらすだろう」と述べた。近くではホテルやマンションから成るチャイナタウンの建設も始まっているが、通りはがらんとして寂れた印象だ。

 観光業者のベルデンさんはバスを見つめ、「悲しい話だ」とつぶやいた。援助が住民のために生かされないことに、むなしさを感じずにはいられなかった。(ポートモレスビー 共同)

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