海外情勢

連日300~400人が行列、イスラエルで日本ブーム 直行便就航で起爆剤となるか

 日本とイスラエルを結ぶ直行便が3月に就航する。同国では、日本が旅行先として高い人気を誇り、すしやラーメンといった日本食も親しまれるなど、日本ブームが到来。一方で、いまだに危険な国との印象が払拭されず、日本からの観光客は伸び悩んでおり、就航が起爆剤となることが期待される。(鈴木俊輔、写真も)

 直行便は、イスラエルのエルアル航空が運行。成田とテルアビブのベングリオン国際空港を12時間前後で結ぶ。往復で週3便が就航する予定で、3月11日に第1便が飛ぶ。現在、同国への渡航には他国での乗り継ぎが必要で、直行便就航を求める声が高まっていた。

 同国での日本人気は上昇中。日本政府観光局の統計では平成30年の同国からの訪日客は約3万9千人で、この15年で4倍となった。

 人気の一因が日本食だ。同国内には約500店の日本食レストランがあるとされ、最大の経済都市のテルアビブではすし店やラーメン店などが軒を連ねる。

 テルアビブにあるラーメン店では、連日300~400人が行列をつくるほど。オーナーのナダブ・ラモットさん(36)は「飲食業を長くやっているが、これほどのブームはみたことがない。素材の持ち味やうまみを引き出す日本料理はイスラエル人に合っているのでは」と話す。訪日経験があるイスラエル人が増えるにつれて味や品質も高くなっているという。

 一方、日本からの観光客は伸び悩む。30年にイスラエルを訪れた日本人は約2万人。同国からの訪日客の約半分で、人口が日本の10分の1以下であることを考えると極めて少ない。その大半はビジネスマンとされ、観光客となると、さらに少数になるとみられる。

 業界関係者は「直行便就航で、心理的なハードルは大きく下がる。あとは治安が回復していることをどれだけPRできるかが鍵だ」と述べ、直行便就航による期待感を示す。

 「可能性広がる国」 移住32年の板前

 「イスラエルは自分の可能性が広がる国だ」

 テルアビブのラーメン店で厨房(ちゅうぼう)に立つ川上明さん(65)は、移住して32年目になるイスラエルの魅力をこう語る。

 東京出身で、写真関係の仕事をしながら、貯金しては海外に旅をする若者だった。「じっとしているのが嫌いで、放浪癖があった」と笑うように、インターネットもなく情報が極めて少ない中で、欧米だけでなくインドやエジプト、イランなど各地を飛び回った。

 イスラエル人の妻と出会ったことをきっかけに、昭和63年に同国に移住した。当時は現在よりも治安が悪かったが、主要産業だったダイヤモンドの加工や買い付けの仕事をし、公用語のヘブライ語を習得した。

 得意だった料理を生かした弁当店、通訳と職を変えながら、同国にとどまった。自爆テロが相次いだ時期もあり、「毎日のように爆弾騒ぎがあって、街にはバスの残骸とかが当たり前にあった。平和なんて無理だと思った」。

 それでも、帰国は考えなかった。「この国にいれば、いろんな可能性が広がると思ったから」。現在は厨房に立つ傍ら、通訳やガイド、若いころから続けている空手の指導者など多彩な顔を持ち、日本とイスラエルをつなぐ役割を果たそうとしている。

 移住当時はほとんどいなかった日本人も、千人を超えるまでになった。「これからも日本の文化をイスラエルの人に伝えていきたい。人生は一回だからね」と笑顔をみせた。

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