国内

アフリカ豚熱対策で違法肉持ち込みを厳罰化 罰金は個人3倍・法人50倍に

 農林水産省は5日、アフリカ豚熱(ASF)の国内侵入を防ぐ水際対策を強化することを柱とした家畜伝染病予防法改正案を今国会に提出する方針を自民党の会合で説明し、了承された。ウイルスが混入している恐れのある海外からの違法な肉製品の持ち込みに対する罰金を大幅に引き上げ、個人は現行の3倍の「300万円以下」、法人は50倍の「5000万円以下」に厳罰化する。

 空港や港で旅行客などの荷物を検査する家畜防疫官の権限も強化し、持ち主が拒否した場合も必要に応じて質問や検査、廃棄を強制的に行えるようにする。養豚場でアフリカ豚熱や豚熱(CSF)などが発生した際に義務付けられている届け出をしなかった農家への罰金も引き上げる。

 これまで必要な検査を受けずに違法に肉製品を持ち込んだ場合の罰則は「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」だった。しかしアフリカ豚熱のウイルスは豚肉やソーセージなどの中でも感染力を長期間維持することが知られており、発生国からの土産や旅行者の携行品として持ち込まれた肉製品を介して日本に侵入する恐れがあるため、対応を強化した。

 農家の届け出義務違反に対する罰金も「100万円以下」から個人は「300万円以下」、法人は「5000万円以下」に厳しくする。養豚場に入る車両の消毒といった衛生管理基準の順守を求める都道府県の命令に従わない場合の罰金も「30万円以下」から「100万円以下」に引き上げる。

 アフリカ豚熱の対策をめぐっては、国内での発生時に周囲の養豚場の健康な豚も殺処分の対象とする「予防的殺処分」を可能にすることを柱とした改正家畜伝染病予防法も議員立法で既に成立しており、5日施行された。これに伴い、従来使われていた「アフリカ豚コレラ」「豚コレラ」の病名も正式に変更となった。

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