海外情勢

米で猛威ふるうインフルは新型コロナウイルスか 「方針転換」の意味 (2/2ページ)

 症状(特に初期)だけではインフルエンザと新型コロナの区別は困難だ。

 インフルエンザの迅速検査キットは簡便性があるが正確性には限界があり、自己申告の“インフルエンザ”患者は簡易検査すらされていない可能性が高い。

 そして、今回の検査方針転換によって、今までの統計上“インフルエンザ”と扱われてきた患者の中に、相当数の新型コロナ患者が含まれていたことが判明する可能性がある。

 米国ではすでに「新型コロナが流行していた」のか?

 その結果次第では「米国では今冬インフルエンザが大流行」と報道されていた感染症の実態は、「実は新型コロナが以前から流行していた」と覆るかもしれない。2月15日に「名古屋市の日本人夫婦がハワイ旅行の後、新型コロナ感染」が判明しているが、これをその米国での流行のサインではないか、ととらえる日本人医師さえいる。

 日本の新型コロナ対策は、ここへきてようやく「市中感染」を前提としたものに移りつつあるが、これまでは「ダイヤモンド・プリンセス号の停留」や「中国航路の減便」など、「対中国の水際対策」が中心だった。

 今後もし、米国で広範囲の感染が確認された場合、「中国関係者のみ排除しても意味がない」ことはますます明白なものとなるだろう。実際、2月15日には、和歌山の医療機関で5人の新型コロナ集団感染が報告されている。これも中国とは無関係で感染ルートが今のところ不明である。

 「潜伏期や無症状患者を考えると、日本国内でも新型コロナの大量検査体制が確立されたら、中国とは無関係な感染者が多数検出されるはず」と考える医師は多く、筆者もその一人である。

 アメリカの新型コロナ「感染爆発」なら日本人はどう対処すべきか

 このCDCの調査結果によっては、日本の防疫体制も「水際対策」から「すでに国内に存在する感染症との闘い」へと、根本的な変更を余儀なくされそうである。厚労省の対応はより早急なものが求められるようになる。

 後手後手の感が否めない日本の新型コロナ対策だが、個人としてはどのように防衛すればいいのか。

 仮に中国だけでなく、アメリカでも新型コロナ感染者が多数発生し、「感染爆発」という事態になったとしても、私たち日本人にできる感染症対策はこれまでと大きな変化はない。

 「こまめな手洗い」

 「マスク(一般用で十分)」

 「症状があれば休んで自宅療養」

 「不要な人混みへの外出を避ける」

 これを徹底するしかない。そして医療者としては、この新型コロナを契機に、いざという時には職場(学校)ではインターネットを活用した在宅勤務(学習)を、行政には「オンライン診療」ができる仕組みづくりを考えるべきだと思っている。(フリーランス麻酔科医、医学博士 筒井 冨美)

 筒井 冨美(つつい・ふみ)

 フリーランス麻酔科医、医学博士

 地方の非医師家庭に生まれ、国立大学を卒業。米国留学、医大講師を経て、2007年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。本業の傍ら、12年から「ドクターX~外科医・大門未知子~」など医療ドラマの制作協力や執筆活動も行う。近著に「フリーランス女医が教える「名医」と「迷医」の見分け方」(宝島社)、「フリーランス女医は見た 医者の稼ぎ方」(光文社新書)

(PRESIDENT Online)

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