海外情勢

日本語表記で「トイレも使えるマスク」? 正念場迎える“中国人爆買いの街” (2/2ページ)

 袋の裏面に使用上の注意が日本語で表記されている。目を丸くした。

 「マスクは再利用可能トイレも使える」

 えっ一体、どんなマスクなんだ。マスクで用を足そうとは思わない。しかし…。

 「ガス漏れに対しては、このマスクを使いません」

 そりゃそうだろう…。

 次の日本語には思わず吹き出してしまった。

 「使いたくないからやめたんだ」

 それはこっちのセリフだ。日本語が分かる人なら、誰もこのマスクを使いたいとは思わないだろう。

 幸い、英文も併記されていた。読むと「WASHABLE」(洗える)とある。これを「トイレも使える」と誤訳したようだ。「使いたくないからやめたんだ」は何をどう間違えたのか理解できなかった。

 ただ、どこにも「メード・イン・ジャパン」とは書いていない。社名もない。使用された漢字には、中国本土で使われる簡体字が混じっているので「中国製」かもしれない。香港などでは今なお「日本製」に対する信頼度が高いため、無理をしてでも日本風の商品を作ろうとしたのだろうか。

 あくまでも日本語訳がでたらめなだけで、マスク自体の効能には問題がないことを祈るほかない。

 上水はもともと薬局が多い。だから新型肺炎の感染拡大とともに、香港の人々がマスクを求めて集まってきたようだ。とはいっても、中国人の“爆買い”が横行していたときと比べると、「客は7割減」(薬局店員)という店もある。

 休業に追い込まれた店のシャッターには、若者たちが書いたのだろう、「水貨客を追い出せ」「香港独立」などの文字が殴り書きされていた。

 路上で雑貨を売っていた女性(68)はあきらめ顔だ。

 「中国人がいなくなって、もうけは半減。このままではご飯が食べられなくなるよ。あんた、マスク余ってないかい?」

 一方、公園で携帯ゲームをしていた若い女性(22)は笑っていう。

 「子供のころの風景に戻ったような感じです」

 水貨客がいなくなって静かになった。通りにあふれていたゴミも減った。

 --でも、中国人の“爆買い”がなくなったら上水の街は“シャッター通り”になってしまうのでは?

 将来、観光業の仕事に就きたいという専門学校生の彼女は答える。

 「上水が変わるチャンスじゃないかな。中国人相手の薬局ではなく、香港住民の生活を豊かにするようなお店が増えてほしい」

 そう言って、再び中国製のゲームに没頭し始めた。

 今、上水には120店ほどの薬局、化粧品店があるという。売り上げは減っても、テナント料は高止まりしたままなので、商工会は「6割の店が営業を続けられなくなるかもしれない」と懸念を強める。

 何やら、香港の縮図のような上水。これからが正念場なのだ。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus