海外情勢

米大統領候補がトランプ氏の予算削減を批判 新型肺炎が争点に

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領は26日、ホワイトハウスでの記者会見で、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスに関し、仮に米国で感染が拡大したとしても専門対策チームが「迅速に対処する準備、意思、能力を備えている」と強調した。しかし、11月に実施される大統領選の民主党候補がここまでのトランプ政権の対応を厳しく批判するなど、コロナウイルス問題は大統領選の争点にも浮上してきた。

 トランプ氏が記者会見を急遽(きゅうきょ)実施したのは、米株価が5日連続で下落するなどウイルスへの不安が広がっているのを受け、国民に平静を呼びかけるためだ。

 同時に、大統領選を控え野党の民主党が批判の矛先を政権に向けてくるのを回避する狙いもある。

 実際、25日に南部サウスカロライナ州で行われた民主党の候補者討論会でバイデン前副大統領は「トランプ氏は疾病管理予防センター(CDC)の予算を削減した」と非難し、「私ならCDCの予算を復活させる」と強調。クロブシャー上院議員も「トランプ氏は国民向け演説で状況を説明すべきだ」と主張した。

 民主党のペロシ下院議長も26日、トランプ氏の記者会見に先立ち記者団に「トランプ氏は自分で何を言っているのか分かっていない」と批判した。

 これに対しトランプ氏は26日、ツイッターで「無能で何もしない民主党のお仲間連中は口先だけだ」と反論。トランプ氏の対応に批判的なケーブルテレビ局のCNNとMSNBCについても「あらゆる手を使ってコロナウイルスがいかに悪質かを喧伝(けんでん)し、市場にパニックを起こさせるなどしている」とこき下ろした。

 トランプ氏はこの日、25億ドル(約2750億円)規模の感染対策費の拠出を議会に要請すると改めて表明。アザー厚生長官は26日、下院歳出委員会の公聴会で証言し、「現時点では25億ドルは適切な規模だ」と強調した。

 一方、民主党のシューマー上院院内総務は26日、「金額が不十分だ」として、対案となる総額85億ドル規模のコロナウイルス対策法案を発表した。

 ミリー統合参謀本部議長も同公聴会で、コロナウイルス対策で追加の予算措置が必要になるとの見方を示したほか、共和党のマッカーシー下院院内総務も「40億ドルは必要だ」と指摘するなど、対策予算が増大するのは避けられない見通しとなっている。

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