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新型肺炎で国内の「旅行控え」加速、観光業痛手 自治体が融資制度創設へ

 新型コロナウイルスによる肺炎の拡大に伴い、各地で相次ぐホテルや旅館の宿泊キャンセル。当初は中国人など訪日客が中心だったが、国内での感染例が次々と判明し日本人の「旅行控え」も加速している。観光業への深刻な打撃が予想され、自治体は融資制度創設などの対策に乗り出した。

 各自治体によると、浜松市では2月4日時点で約4万2000人分の予約が取り消された。岐阜県では21日時点で約2万3000人分、岩手県でも27日時点で約1万1000人分が確認された。

 日本人客のキャンセルは少し前から出始めていた。栃木県によると、中国人客の宿泊の有無を問い合わせてから予約を取り消すケースも。宮城県でも外国人が多い施設が敬遠される「風評被害」があったという。

 ところが「当初は中国からのキャンセルのみだったが、次第に国や地域が広がった」(山形県)。岡山県では2月に入って日本人のキャンセルが急増し、同13日時点で40施設でのキャンセル約2万2000人分のほぼ半数が日本人。同県の浮田信太郎観光課長は「政府が休校やイベント自粛を呼び掛ける中で影響が出るのはやむを得ないが、長引くと痛手だ」と頭を抱える。長崎県の担当者は4月以降に本格化する修学旅行の延期や中止を懸念した。

 2000人超のキャンセルが出ている山形県は、2人以上の宿泊客を対象に6000円分の割引クーポンの発行を始めた。記録的な暖冬で雪が少なく、スキー客などが減少。担当者は「少雪と肺炎の『ダブルパンチ』。少しでも客足が戻れば」と祈る。愛知県蒲郡市では中国人客を多く受け入れてきた老舗旅館が廃業した。京都府は観光業に限らず主に中小企業を対象に緊急資金の融資制度を設けた。既存制度の拡充も含め、他にも複数の自治体が同様の支援を始めた。

 「旅行やレジャー、イベントの中止の影響は大きい。今後が不安という声が多い」(群馬県)。各自治体は見えない先行きに警戒感を募らせる。

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