こうした中、日本では石炭火力の新設計画が相次ぐ。昨年12月には、九州電力の松浦火力発電所2号機(長崎県松浦市)が運転を開始。今月2日には東北電力が秋田県能代市に新設した能代火力発電所3号機が稼働を始めた。運転開始までの準備手続きが原発よりもはるかに少ない石炭火力が原発再稼働停滞で空いた穴を埋めている構図だ。石炭火力には「安全性などの利点もある」(経済産業省幹部)ことから、資源のない日本のエネルギー安全保障上の観点から活用されている側面もある。
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ただ、石炭火力は二酸化炭素(CO2)排出の面から「悪者」扱いされることも多い。日本で発電される電力のうち3割超が石炭火力で賄われる「石炭火力頼み」ともとれる構図には、冷ややかな視線も送られている。昨年12月の気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)では、世界の環境団体でつくる「気候変動ネットワーク」が「脱石炭」に消極的だとして日本を糾弾した。
福島第1原発の敷地内には1千基もの巨大なタンクが所狭しと並ぶ。高さと直径がそれぞれ約12メートルもある円筒形の構造物の中身は、原子炉内で溶けた燃料などを冷やした汚染水を浄化処理した水だ。このままタンクが増え続ければ「発電所のスペースに余裕がなくなり、廃炉作業に支障が出る可能性がある」(東電関係者)というが、処理水の海洋放出などについては賛否が分かれている。行き場のない大量の水は、原発事故の影響でがんじがらめになったエネルギー政策を象徴しているようだった。(飯田耕司)