海外情勢

香港、新型コロナにも抗議 市民ら本土との境界封鎖要求

 香港で「逃亡犯条例」改正案を機に昨年から続いた大規模な抗議活動が影を潜めている。新型コロナウイルスの感染拡大で、人が集まりにくくなったためだ。一方、抗議活動で高まった政府への不信感は根強い。政府に対し中国との境界の完全封鎖を求めるストライキが起きるなど、若者のエネルギーは政府の肺炎対策批判に向かっている。

 「完全封鎖しろ、市民の意見を聞け」。2月15日、中国との境界に近い新界地区で、新型肺炎専門の診療所設置に反対するマスク姿の若者ら数百人がデモ行進を行った。

 香港メディアによると、一部は駅に放火するなどし、少なくとも33人が逮捕された。「香港独立」ののぼりを掲げる参加者もおり、昨年から続く抗議活動の勢力と重なる。

 新界地区では、濃厚接触者らを隔離する「検疫センター」への改装計画があった公立住宅も1月下旬、計画への抗議活動の末、火炎瓶で放火され、修復に半年以上かかる事態となった。

 香港の社会問題に詳しい政治学者、林泉忠氏は「社会の注目は逃亡犯条例から新型肺炎に移ったが、政府に対する不満は変わっていない」と指摘。(1)境界完全封鎖要求(2)検疫センター設置(3)マスク不足-の3つの問題をめぐり、昨年からの抗議活動の延長線上に「新たな戦場」ができたとみる。

 抗議活動では、市民の要求を政府に受け入れさせる手段として、労働組合結成によるストライキの実施が呼び掛けられた。それを実行したのが、2月上旬の公立病院での看護師や医師らによるストだった。境界完全封鎖を求めて、5日間にわたり連日数千人が参加し、医療現場は混乱した。

 譲歩を迫られた林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、完全封鎖には応じなかったものの、中国本土から香港への入境者全員の事実上の隔離措置を発表。林泉忠氏は「ストライキは有効だった」と指摘する。林鄭氏はストについて「逃亡犯条例改正案に反対した過激分子が騒いだ」と中央政府に報告したと香港紙は報じた。

 看護師らの要求した境界完全封鎖は、世論調査で8割の住民が支持。一方で林鄭氏の支持率は9.1%となった。2月19日の立法会(議会)では、民主派議員が「もし早急に完全封鎖していたら香港で市中感染は起きなかった」と批判。親中派議員からも新型肺炎対策に不満の声が出ている。

 昨年の抗議デモで過激な活動を行った「勇武派」の男子大学生は、新型肺炎の拡大で外出を控えているとしつつ「政府の肺炎対策がうまくいかず、市民の不満は高まるばかりなので、社会運動の火は消えることはない」と語った。(香港 共同)

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