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富山、路面電車で地域分断解消 南北接続し交流促進、観光振興にも期待

 富山市のJR富山駅をはさみ南北に走る路面電車が21日接続した。北陸新幹線開通に伴う駅の高架化で、これまで分断されてきた地域を直通できるようになり、交流の活発化が期待される。富山市は住宅や公共施設を中心市街地に集約する「コンパクトシティー」の先進地。「市民の足」が南北でつながり、まちづくりは総仕上げを迎える。

 ◆14年から転入超過

 「コンパクトな街づくりの一つの大きな到達点。富山市民100年の夢の実現だ」。富山市の森雅志市長は直通運転開始を前に、20日に開かれた記念式典でこうあいさつし、気合いを込めた。2021年春の退任を表明している森市長にとって、路面電車の南北接続は4期16年間の集大成の一つだ。

 人口減少と高齢化社会に立ち向かう手段としてコンパクトシティー構想を掲げ、07年に国から「中心市街地活性化基本計画」の第1号に認定された。郊外に拡散した住民が車依存度を高め、街中が空洞化する状況を打破する目玉が路面電車の活用だった。

 富山駅を起点に南側に広がる路線を、お年寄りでも手軽に利用できるよう再整備し、スタイリッシュな低床車両のLRT(次世代型路面電車)に刷新。その結果、18年の利用者は1日平均1万4600人と06年の1.5倍に増加し、街中の居住推進地区も14年から住民の転入超過となった。

 ◆駅周辺高架化で実現

 悩ましい問題だったのが富山市を長く南北に分断してきたJR北陸線の存在だ。1899年の高岡-富山間の延伸以降、南側は路面電車も開業して市街地に発展した。一方、北側は「駅裏」と称され開発が停滞。北に伸びるJR富山港線は乗客減少に苦しんだ末、2006年に第三セクター化され、LRTに切り替わった。

 それが北陸新幹線の整備で駅周辺の高架化が決まり、南北接続の道が開かれた。13年に着工し、総事業費は約40億円に上る。路面電車の運営主体も南側の「富山地方鉄道」に一本化され、全長15.2キロのLRT網が完成した。

 観光振興でも期待が高まる。北側の岩瀬地区でまちづくりに取り組む桝田酒造店の桝田隆一郎社長(53)は「ホテルの多い富山駅の南側から一本で来られるようになる。外国人観光客を呼び込みたい」と意気込む。

 富山大の金山洋一教授(交通政策学)は「南北接続で住む場所や出かける先の選択肢が増え、沿線の活性化も加速する」と分析。ただ、さまざまな方面向けに路線が増え、利用客が混乱する可能性があるとして「分かりやすい表示など配慮が必要だ」と指摘した。

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