国内

経産省支援策、FBで中小に拡散 情報公開「奇跡のラストワンマイル」運動

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で中小・ベンチャー企業の経営が悪化する中、交流サイトのフェイスブック上で、経済産業省の支援策を紹介する書き込みが中小企業経営者の間で話題になっている。書き込みは「『奇跡のラストワンマイル』運動」と名付けられ、中小企業問題に関心があった財務省の小林剛也公文書監理室長から始まり、少なくとも数千件規模でシェアされているとみられる。

 ラストワンマイルは、主に通信業界で使われている言葉で、直訳すると「最後の1マイル」。最寄りの基地局から利用者の建物を結ぶ通信回線のことで、最後の区間を意味する。経産省は、中小企業経営者に情報が届くよう伝達手段の最後の区間としてフェイスブック上での拡散に期待を込めた。運動では、経産省が中小企業向けの支援策をまとめた資料の表紙の写真と、資料の詳細が掲載されているホームページのアドレスを伝えている。

 今回に限らず、2008年のリーマン・ショック、11年の東日本大震災の後も、政府や政府系金融機関、自治体が次々と資金繰り対策など中小企業支援策を打ち出していたが、肝心の中小・ベンチャー企業に情報が伝わっていないことが多い。各ホームページにはそれぞれの支援策が紹介されているが、中小企業経営者の多くが「サイトのどこに掲載されているのかを探すだけで一苦労」というのが実情だ。

 この運動の仕掛け人である経産省中小企業庁の茂木高志総括課長補佐は「ベンチャー企業はもちろん、町工場の経営者でもフェイスブックなどの会員制交流サイト(SNS)を多用して情報発信している。企業経営者の目線で発信してもらえたら」と話す。

 「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」と題した資料はA4判で約40ページ。資金繰りや設備投資に限らず、これまでなら他省庁の支援策のため扱ってこなかった雇用調整助成金の特例措置や休校による保護者への支援、消費税の納付期限延長なども紹介している。

 「外出先でスマホにアドレスを入力するのは難しい」と考え、資料の各ページに2次元バーコード(QRコード)を掲載。手持ちのスマートフォンで読み取ると、自動的により詳しい支援策の内容が表示される。さまざまな中小企業支援策のポータル(玄関)的な要素を、この資料に持たせた。

 この資料をフェイスブック上で入手した東京都内のベンチャー企業の女性経営者は「こんなに分かりやすい資料は今まで見たことがない」と好評。茂木課長補佐は「まずはこの資料を手掛かりに支援策を活用していただき、気づいた点があればぜひ教えてほしい」と話している。資料はほぼ毎日更新されており、最新版は検索サイトから「経済産業省 新型コロナウイルス感染症関連」で取り出せる。(松村信仁)

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