数字から見えるちば

小中学校のPC設置台数で下位 教育環境向上で次世代担う人材を ちばぎん総研主任研究員・久山直登

 昨年12月、26兆円規模の新たな経済対策が閣議決定された。東京五輪・パラリンピック後も見据えた成長分野への投資、自然災害に対応するためのインフラ整備、景気の下振れリスクへの備えなどが柱だが、その中には義務教育課程におけるICT(情報通信技術)化を加速する政策が盛り込まれている。

 すなわち、令和5年度までに全ての小中学生がパソコン(PC)などの情報端末を利用できるよう総額約5千億円の事業費が計上され、国際的に後れをとっているわが国のICT教育を底上げするとともに、国内の地域間格差(デジタルディバイド)の是正にもつなげることが狙いだ。安倍晋三首相も「児童1人にPC1台は当然」との見解を示すなど、政府肝いりの事業となっている。

 小中学校の教育用に利用されているPCの普及状況(児童1千人当たりのPC台数)を都道府県別にみると、千葉県は小学校が134・6台(全国ワースト2位)、中学校では158・4台(全国ワースト7位)といずれも全国下位となっている。下位の都道府県は、愛知県や福岡県、埼玉県、神奈川県など児童数が多い県となっており、児童数の多さにPC配置が追いついていない状況は千葉県も同様である。

 千葉県としては、児童数トップの東京都(小学校28位、中学校23位)辺りの順位を目指したい。

 一方、千葉県の小中学校における学校内外の通信環境をみると、校内LAN整備率・光ファイバー回線(インターネット)接続率ともに9割を超えて、全国13~16位に位置しており、今後はいかに設置台数を増やすかが課題となりそうだ。

 もちろん県内でも地域によって児童数が大きく異なっており、今後児童数の減少が見込まれる地域も少なくないことから、地域の実情に呼応した整備が必要となる。

 教育用PCの普及が進めば、児童一人一人の学習履歴が電子データで取得・管理でき、個々の習熟度に合わせた学びも可能になる。長い目でみれば、6G関連などの次世代開発人材育成にもつながる可能性がある。

 さらに、最近では新型コロナウイルスの影響で休校を余儀なくされるケースもみられるが、そのような時に教育用タブレットと通信環境があれば、自宅学習も容易になる。これからの将来を担う子供たちの教育環境の向上に向けて、全児童へのPC導入をできるだけ早く実現したい。

(寄稿)

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