海外情勢

新型コロナの緊急事態宣言、各国はどう動いているか (2/3ページ)

 3人以上の集会禁止に重点・ドイツ

 ドイツは厳格な外出禁止措置をとらず、公共の空間で3人以上が集うことなどを禁じる「接触制限」に比重を置く。ただ、感染者拡大に歯止めがかからず、自主隔離中のメルケル首相は1日、「効果は若干みられるが、制限を変える段階には程遠い」と、19日までの制限期間延長を発表した。

 制限は買い物など必要な外出を認めた上で(1)同居家族以外との接触を最小限にし、接触時は最低1・5メートルの距離をとる(2)宅配や持ち帰り品の販売を除く飲食店を閉鎖(3)理髪店など身体の接触を避けられないサービス業の禁止-が主な内容。

 基本法(憲法に相当)が定める緊急事態ではなく感染症保護法に基づく措置で、国と実施主体の各州・特別市が一律の指針に合意し、3月22日に始まった。

 外出禁止措置をとるか否かも議論され、南部バイエルン州など一部州は独自に導入した。ただ、独裁体制下の旧東ドイツで育ち、旅行や移動の自由の貴重さを知るメルケル氏が「民主主義体制下では容易でない」と語るなど、私権の制限に慎重論は強く、接触制限前は娯楽施設の閉鎖などにとどまっていた。

 接触制限の違反は少なくはなく、警察が巡回して市民に注意する姿も伝えられる。罰則の有無や程度は州で異なり、導入や強化を図る動きもある。延長によりキリスト教の復活祭に伴う休暇も旅行などができないが、メルケル氏は「パンデミック(世界的大流行)に祝日はない」と国民に協力を呼び掛けた。(宮下日出男)

 外出制限も効果確認されず・英国

 英国政府が3月23日に全土で外出制限を開始してから1週間余りが経過した。目立った感染抑制の効果はまだ出ておらず、国民が平時の生活に戻れるようになるには半年を要するとの見方も出ている。

 ジョンソン首相は23日のテレビ演説で、生活必需品の購入や、1日1回の運動、社会に必要不可欠で自宅ではできない仕事などを除いて外出を禁止する措置を少なくとも3週間実施すると発表。必需品ではない衣料品店や家電用品店といった商店のほか、図書館などの施設も閉鎖させるとした。その後、違反者に警察が罰金を科すことなどを定めた「緊急事態法」も成立した。

 感染症を研究するロンドン衛生熱帯医学大は、外出制限を実施しなければ1人の感染者から2・6人に感染していたが、制限後は0・62人に低下していると推定する。ただ、外出制限を開始してからも国内の感染者数が2万人以上増加しており、現在のところは「感染が抑制された効果は確認されていない」(感染症の英専門家)。英政府首席科学顧問のバランス氏は30日、外出制限の効果が感染者数の減少などという目に見える形で表れるには「2~3週間かかる」と予測した。

 英医療・保健当局のハリーズ副首席医務官は29日、外出制限について、成果が出る兆候があると説明した上で、「(制限が解かれるまでは)約6カ月間かかる可能性がある」とした。(ロンドン 板東和正)

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