海外情勢

演歌と共通点 韓国「トロット」人気再燃

 韓国で大衆歌謡「トロット」の人気が再燃している。K-POPに押され存在感が薄れていたが、テレビのオーディション番組が火付け役となり、若者の一部にも浸透。歌い方や音階が日本の演歌に似ており、専門家は日韓で文化理解が深まることを期待している。

 ブームの発端は無名の歌手や主婦、高校生ら10~30代の女性100人が「トロットの女王」を目指して歌唱力を競うテレビ番組だ。昨年2月末に放送が始まると徐々に人気を集め、視聴率1位に。優勝した30代の女性歌手、ソン・ガインさんのコンサートのチケットは各地で完売となり、会場には若者の姿もあった。

 従来は哀愁漂う曲調が多かったが、2000年代以降、カジュアルな衣装や派手なダンスを取り入れた。アップテンポでK-POPに近いスタイルの歌も登場。人気歌手の曲を収めたUSBメモリーが、大型書店や高速道路の休憩所に並ぶ。ソウルに住む30代の男性会社員は「小さい頃は田舎くさいと思ったが、改めて耳を傾けると味わい深い」と話す。

 トロットは日本でも親しまれており、「釜山港へ帰れ」はNHK紅白歌合戦で歌われたこともある。日韓の大衆音楽に詳しい岡山大の小林孝行名誉教授は、小節をきかせた歌い方や特徴的な音階が共通していると指摘する。韓国の朴眞秀・嘉泉大教授は「東アジアでも韓国と日本だけの共通の文化だ」と話し、文化理解がさらに深まることを願っている。(ソウル 共同)

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