海外情勢

韓国、コンビニ深夜営業禁止拡大 最低賃金上昇で人件費高騰

 最低賃金の上昇が続く韓国で、コンビニエンスストアの深夜営業をやめる動きが広がっている。従業員の確保が難しくなった日本と事情が異なり、店主にとってアルバイトへの賃金支払い負担が重くなっていることが背景にある。コンビニ運営会社が無人店舗を設置する動きも徐々に広がっている。

 2017年5月に発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権は、財閥や大企業中心の成長モデルを改め、庶民の購買力を高め景気浮揚を図る「所得主導成長」を掲げてきた。内需を拡大し、輸出に大きく依存する経済構造を改善する戦略だ。

 17年に時給6470ウォン(約580円)だった最低賃金は今年、8590ウォンに引き上げられた。だが人件費が高騰し、個人経営者やコンビニ店主らが強く反発。深夜は時給が割り増しとなるため特に負担が重くなり、人件費抑制のため自分でレジに立つ店主も出た。

 韓国では、運営会社による加盟店への24時間営業強要などが問題となったことを受けて14年、深夜営業で赤字が出ているなどの場合は強要できないようにする法改正が実現。ただ実際は、運営会社が電気料金補助などを提示して24時間営業を続けるよう促してきた。

 そうした中、14年にコンビニ事業に参入した小売り大手イーマートが、営業時間は店主に委ねる形式を採用。その結果、韓国メディアによると18年現在での24時間営業の店舗比率は23%に。働き方改革や不景気の影響もあって夜の人出が減少し、採算が取れないとの判断もあるという。他の大手コンビニでも時短営業の希望が増えている。

 各社は客が自ら会計する「セルフレジ」のある無人店舗を出店してきたが、イーマートは昨年秋、ソウル近郊の金浦にレジのない新型店舗を実験的にオープンさせた。アプリで事前にクレジットカードを登録すれば、品物を手に取ってそのまま退店。重量を感知する棚のセンサーや数十個のカメラで購入商品を特定し、決済する仕組みだ。同社は将来的に、人件費が不要で回転率も高いこうした「未来型コンビニ」の開発を目指すとしている。(ソウル 共同)

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