海外情勢

アジアの途上国「静かな感染拡大」警戒 埋葬数急増で発表数に疑義

 【シンガポール=森浩】アジアでも途上国を中心に新型コロナウイルス感染拡大への懸念が高まる。医療体制整備の遅れで、感染が検知できない事態が懸念されており、「静かな感染拡大」(米誌タイム)が進んでいる可能性はぬぐえない。

 人口2億6千万人を抱えるインドネシアでは8日までに2738人が感染し、221人が死亡した(米ジョンズ・ホプキンズ大集計)。だが、首都ジャカルタ特別州の墓地では3月の埋葬数が前年同月比で千件以上増加しており、アニス知事は「新型コロナ以外の理由を探すことは困難だ」と発表されている感染者数に疑問を呈している。

 インドネシアでは3月2日まで「感染者ゼロ」が続き、その後に発生、増加に転じた経緯がある。感染拡大当初から水面下で蔓延(まんえん)していた恐れもある。同国のカラ赤十字総裁は検査能力の不足のため、感染者が「普通の発熱か、デング熱と診察されているのではないか」と懸念する。

 人口約13億人のインドでも実情は同じだ。特に衛生状態が悪い地域に対しては、調査も進んでいない。

 3月末には西部の大都市ムンバイにあるスラム街で感染例が相次いで4件確認された。公衆トイレを800世帯以上が共有しているとされる地域で、衛生環境はきわめて劣悪だ。市の保健当局関係者は「人員に限界があり、(スラム街など貧しい地域で)健康状態が悪化している人の数を把握することも難しい」と打ち明けた。

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