海外情勢

根強い女性蔑視 厳罰下でレイプ増加 インド 5年ぶり男4人を絞首刑

 インドの首都ニューデリーで2012年に起きた集団レイプ殺害事件で、死刑が確定していた男4人に3月20日、絞首刑が執行された。同国では15年以来の死刑執行となり、性犯罪への厳罰姿勢を示したが、レイプは増加傾向にある。背景には根強い女性蔑視や差別といった問題が浮かぶ。

 政府批判きっかけ

 執行当日、収容先のニューデリーの刑務所前には、早朝からメディア関係者のほか、多くの市民が集まった。死刑反対を訴える人の姿はなく、執行予定時刻が近づくとカウントダウンに続いて歓声が上がり、イベントのような雰囲気に。30代の主婦、シュウェタさんは「2歳の娘が安心して暮らせる社会になる」と安心した表情を見せた。

 発生直後は政府の性犯罪対策の甘さを批判するデモが激化。レイプ犯罪の最高刑を死刑に引き上げるきっかけとなった。被害女性は「勇敢な人」としてたたえられ、女性団体なども死刑執行を積極的に支持。地元記者は「レイプは凶悪犯罪。大部分の人が死刑は当然と思っている」と話す。

 だが、事件後も件数は減っていない。政府によると、18年の認知件数は3万3356件に上り、10年間で約55%増加した。12年の事件をきっかけに被害を届け出る人が増えたこともあり、13年以降は年間3万件台で推移。加害者の約94%は近所の人や元夫など被害者の知人で、家族というケースもある。農村部では発生件数が都市部より2~4倍多い所もある。

 カースト上層

 19年12月には北部ウッタルプラデシュ州の農村で、20代の女性が5人の男に灯油をかけられ、火を付けられて死亡。女性は5人のうち2人からレイプ被害を受けたと訴え、証言のため裁判所に向かうところだった。

 男らは伝統的な身分制度カーストで上層の出身、女性は低位カーストに属していた。男らの家族や村人たちは女性に責任があるとし、ぬれぎぬだと主張している。

 社会運動家のプムアティ・クマールさんは「農村を中心に根強い差別意識があり、低位カーストの女性がレイプ被害に遭うケースは多い」と話す。役所や警察は上位カースト出身者が多く、被害を訴えることをためらう女性も少なくないという。

 ニューデリーに本部のある人権団体「アクション・エイド・インディア」のサンディープ・チャチュラ代表は「(12年の)事件から女性の権利意識は高まったが、女性が直面している差別の状況は変わっていない」と指摘。「4人を絞首刑にしても、問題の解決にはつながらない」と語気を強めた。(ニューデリー 共同)

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