海外情勢

新インフラ整備 潜在リスクを指摘する声も 政府系シンクタンク「管理が困難」

中国新聞

 中国の政府系シンクタンク、賽迪智庫工業経済研究所はこのほど「中国各省区市『新インフラ整備』発展潜在力白書」を発表し、始動したばかりの新インフラ整備で「過剰生産能力」「建設が容易だが管理が困難」「支出が収入を上回る」といった潜在リスクを警戒する必要があると指摘した。

 中国では現在、第5世代(5G)移動通信システムの設備や超々高電圧(UHV)技術、都市間高速鉄道、都市軌道交通(都市鉄道)、新エネルギー車(NEV)用充電スタンド、ビッグデータセンター、人工知能(AI)、産業インターネットといった「新インフラ」の建設が重点投資分野となり、地方政府が発表した投資計画は数十兆元(1元は約15円)規模に達している。

 同白書では発展基盤、産業支援、事業能力、革新的発展の4つの側面から新インフラの発展潜在力を評価。広東、江蘇、上海、北京、浙江、山東、福建の7省・市の総合得点は全て80点を超え、国内上位に並ぶ。一方で西部を中心に中西部では、土地や電力が豊富で低コストとはいえ、経済・産業基盤で依然として格差があるという。

 同白書では「新インフラ投資では全体で統一した計画を立てて実施し、リソースの配置ミスを避けるべき。各地が個別に計画を進めると重複建設や遊休設備が生まれ、膨大な投資の無駄が発生する」と警鐘を鳴らす。

 このほか地方政府の財政負担も注意すべき点で、同白書は「経営モデルや現地市場の需要を考えないやみくもな建設は地方政府や企業の負担が増大し、健全な発展を妨げかねない」と指摘した。(中国新聞社)

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