新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の余波で、東南アジアの小国、東ティモールが孤立状態に陥った。同国と直行便を結ぶ近隣3カ国が外国人の入国を原則禁止したため、世界への経路が消滅した。在東ティモール日本大使館によると、在留邦人の半数は既に出国、残留した約70人の連絡先は把握できているという。
東ティモールから空路で出国するには、直行便があるインドネシア、シンガポール、オーストラリアのいずれかを経由しなければならないが、3カ国は今月上旬までに禁止措置を導入。大使館によると、残っている日本人は国際協力機構(JICA)や非政府組織(NGO)職員、カトリック教会関係者ら。
東ティモールでの感染者は20日発表現在で19人にとどまるが、ルオロ大統領は3月28日に非常事態宣言を出し、約1カ月間、商業施設でのマスク着用や入店前の手洗いを義務付け、5人より多い会議などを禁止した。首都ディリ市内は閑散としているが、地元記者によると物流は平常通りで、食料は不足していない。
早期の宣言の背景には、医者や医療器具が不足しているため感染者が多数出た場合に対応できないとの政府の危機感がある。
ディリで会社を経営する日本人男性は取材に「本当に閉じ込められた感じだが、家の中でおとなしくしていようと思う」と語った。
東ティモールは人口約130万人。ポルトガルの植民地支配やインドネシアによる併合を受けた後、2002年に独立した。(ジャカルタ 共同)