米国のジョセフ・ヤング駐日臨時代理大使は24日までにテレビ会議で産経新聞のインタビューに応じ、新型コロナウイルスで世界保健機関(WHO)が中国にウイルスに関する全面的な情報提供を求めていないとし、さらなる危機に備えて組織改善が必要であるとの考えを示した。中国によるディスインフォメーション(偽情報)工作や南シナ海での海洋進出に対して日米が協力して対応していくべきだとも訴えた。
ヤング氏は、WHOが海外渡航規制に慎重なことなどを挙げ、「新型コロナの危機によってWHOの管理能力の欠点が明らかになった」と指摘した。
トランプ米大統領がWHOの拠出金停止を判断した理由について「何が問題かを評価する」ためだと説明。加盟国支援や規範設定を行うWHOには「非常に特別な責任がある」と訴え、日本政府とWHOの問題について協議していることを明らかにした。
台湾がWHOへの加盟を求めていることについては、「米国は、台湾が重要事項に関する国際的な議論へ貢献できるよう引き続き支持していく」と述べた。台湾が感染拡大の抑制に成功したとたたえ、「新型コロナとの戦いにおける国際的な議論に貢献できる」とした。具体的な国際機関名は言及しなかった。
新型コロナを米軍が中国に持ち込んだと主張するなど、中国が偽情報工作を国際的に展開していることには、「偽情報が誰にとっても有益でないことは明白だ」と非難した。
「各国との協力には誠実さ、開示性、透明性、そして情報共有する意思が必要だ」と述べ、中国に正確な情報提供を求めた。
偽情報の対応を議論する場として先進7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)が「効果的だ」と指摘。透明性ある情報公開などで日米が国際的なリーダーシップを発揮していくことを求め、「中国やロシア、イランが正しくない発信をしていないか監視し続けていくべきだ」と話した。
また、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の中で中国が南シナ海で海洋進出を進め、北朝鮮がミサイル発射を続けていることへの対応では、日米同盟の重要性に言及。「新型コロナの状況に付け入ろうとするあらゆる行動を抑える取り組みを日米で行っていきたい」と訴えた。
(加納宏幸、坂本一之)