新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた中小企業などを支援するため、銀行は、ゴールデンウイーク(大型連休)中も資金繰りなどの相談に乗る窓口を設ける。休日返上で、融資や返済スケジュールの見直しに応じる考えだ。実質無利子・無担保融資が民間金融機関で扱う新制度が始まり、相談が殺到することに備え、審査などの簡略化も進める。(岡本祐大、大柳聡庸、米沢文)
混雑防止策も
「大型連休中も必要な店舗を開いて、お客さまの相談を受ける体制を整備する」
全国銀行協会の三毛兼承会長(三菱UFJ銀行頭取)は28日、電話会議システムを使って開いた説明会で、こう述べた。
大手行では都市部を中心に準備が進んでおり、三菱UFJ銀行は28日、5月2~6日の期間、全国主要都市25拠点で専用の相談窓口を開くと発表した。電話での相談も受け付ける。三井住友銀行も一部店舗で窓口を設け、みずほ銀行は一部の店舗で資金繰り相談などに応じる。
また、政府の緊急事態宣言後、住宅地に近い一部の店舗では「テレワーク(在宅勤務)で時間があるので運用相談に来た」といった人の来店が増えた。このため各行は、三井住友銀がポスターで「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)」を呼びかけるなど、混雑防止策を強めている。
支店長の権限強化
一方、地域経済を支える地銀にとって、中小企業の支援は最優先課題だ。
千葉銀行は5月2~6日、183ある店舗のうち法人向け融資を扱う131店舗に休日相談窓口を設ける。月内にも政府の令和2年度補正予算案が成立し、同行で実質無利子・無担保融資を扱うことになれば、休日も窓口を設けて対応する。
ほかの地域でも、横浜銀行、関西みらい銀行、池田泉州銀行などの地銀が、本店や支店など一部の拠点に相談窓口を設ける。
一方、融資や返済条件の見直しは本部の決済が必要で、時間がかかることが多い。多くの地銀は現場の権限を拡大し、手続きを簡略化する取り組みを始めた。
横浜銀行は3月6日以降、1社あたり1億円を上限に支店長が融資を判断できるようにし、これまで60億円以上の融資を行った。
関西みらい銀行も支店長の権限を広げ、これまで1週間近くかかっていた、返済条件の変更に対する可否の回答を、最短1日できるようにした。9月までの暫定的な措置だが、延長も視野に入れており、菅哲哉社長は「資金繰りによる経営破綻を起こさないよう全力を尽くす」としている。
中小企業の資金繰り支援については、金融庁と経済産業省も27日、金融機関に対し、連休中の相談に応じるよう求めており、ほかの地銀にも取り組みが広がる可能性がある。