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コロナ休校で「9月入学」にわかに熱 学習遅れ解消も…ハードルは高く

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学校休校を受け、「9月入学・新学期」への制度移行を求める議論が熱を帯び始めた。休校に伴う学習の遅れや教育格差の解消に加え、秋入学が主流の海外にあわせることで留学をしやすくする効果もある。ただ、社会には4月1日を新しい会計年度とすることや就職時期を春とする慣例が定着しており、実現のハードルは高い。

 「1つの選択肢、考えていかなければいけないテーマとして、さまざまなシミュレーションはしている」

 萩生田光一文部科学相は28日の記者会見でこう述べ、9月入学の課題整理は行っていることを認めた。

 そのうえで「小中だけ9月に変えても、高校が変わらなければ半年のブランクができる。大学もそうだ」と課題を列挙。「オールジャパンで一緒に考えるなら大きな選択肢にはなる」と語った。

 4月に新学年の始業を迎える現行制度は学校教育法施行規則で規定されるだけで、制度改正のハードルはそう高くない。すでに大学は平成20年の規則改正で、学長が独自に学期始めを定められるようになった。

 具体的な議論を始めたのは国民民主党だ。27日にワーキングチーム(WT)の初会合を開き、就学前児童から大学までを対象に(1)9月入学を今年から開始(2)来年から開始し、今年度を18カ月とする-の2案を軸に検討することを決めた。

 「コロナの感染拡大で明らかに学びの停滞がある。経済格差が教育格差につながる恐れも強い。子供たちが学びの遅れを取り戻し、公平な教育機会を確保するための提案だ」

 WT座長の城井崇衆院議員はそう強調する。立憲民主も国民と歩調をあわせる構えで、枝野幸男代表は記者団に「しっかりメリット、デメリットを洗い出す」と語った。日本維新の会も27日に公表したコロナ関連の提言第4弾で、幼稚園から大学までを9月入学に改めるよう要望した。

 とはいえ、萩生田氏が指摘するように制度移行は簡単ではない。会計年度や就職、国家試験の日程との兼ね合いなど課題は多い。東京大が平成23年、秋入学の検討を始めたが「社会の条件が整わない」と断念した経緯もある。

 政府・与党にも慎重論が強い。自民党の世耕弘成参院幹事長は28日の記者会見で「全ての学生を半年間留年させることになる。社会的に耐えられるのか」と指摘。政府筋も同日、「今はそんなことを考えていられない。やるとしても今年度だけだ」と語った。

 ただ、自民の閣僚経験者は「休校が長期化すれば検討の余地はある」と述べ、5月6日が期限となる緊急事態宣言の延長の有無が判断材料になると指摘した。

(広池慶一、千葉倫之)

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