海外情勢

新型コロナでサムスンの反転攻勢に“狂い” 終息見据えた「守りの戦略」 (2/2ページ)

 ここにサムスンの苦悩がある。世界で約8割のシェアを握るスマホ向けディスプレーに一層注力する戦略に転換していたからだ。

 サムスンは3月末、年内にテレビ向け大型液晶パネルから撤退する方針を明らかにした。中国勢との競争激化で赤字が続いてきたことが要因だが、不採算事業を切り離したうえ、スマホと、他社にも供給するスマホ向けディスプレーを合わせたスマホ関連事業への依存度を高めたといえる。だが、S20の不振により暗雲が立ち込めている。

 新型コロナの感染拡大がなければ、サムスンには2年ぶりの大幅増益が期待されていた。19年12月期の営業利益は、半導体が好調で過去最高となった18年12月期の反動から約半減。それでも終盤の10~12月期は半導体市況の好転を受け、前年同期と比べた減少幅を約30%に縮めた。市場予想を上回る改善で、韓国の証券アナリストは20年12月期の営業利益について、総じて40%前後伸びると期初に予想。1月には期待感からサムスン株は上場来最高値を更新した。しかし、新型コロナの感染拡大による経済停滞の影響は大きく、勢いは消滅。1~3月期は「持ちこたえただけだ」(サムスン幹部)。

 サムスンが頼みの綱とする半導体も、新型コロナで出鼻をくじかれた。今年の半導体業界は、5Gの本格商用化に伴い、対応スマホ向け製品の販売増や、データ通信量が増え、データセンター増設向け投資で製品の引き合いが強まることを需要拡大要因に挙げてきた。ところが、最近ではスペイン、フランス、ポルトガル、オーストリアなど欧州勢だけではなく、5G網拡大を計画した米国でも5G投資延期の表明が相次ぐ。

 サムスンにとって、新型コロナの終息を見据えた守りの戦略をいかに迅速に実行できるかが試されている。(佐藤克史)

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