支払いの約9割をキャッシュレス決済が占める韓国では、新型コロナウイルスの対応でもクレジットカードの利用履歴から感染経路を割り出したり、感染拡大で打撃を受けた飲食店などでの消費を促すためカード決済時の税控除を拡充したりと、「カード社会」に合わせた独自の手法が取られている。
当局は感染者の性別や年齢、感染確認日に加え、カード会社の記録から把握した足取りを政府や自治体のホームページに公開。例えば4月1日に感染が確認された40代男性の場合、「3月26日午後4時20~22分、ソウル市麻浦区のパン店にマスクを着用し徒歩で来店(防疫消毒済みで安全)」などの詳細な移動経路が公開されている。
公権力が個人情報を開示することに当初は一部で抵抗もあったが、「感染を避けるためには必要な情報だ」(ソウル市の30代男性)と支持する声が多い。一方、日本では韓国ほどカード決済が普及しておらず、プライバシー面で拒否感が強いため、同様の手法は非現実的とみられる。日本政府は感染経路を追跡するアプリ開発に着手したが、利用者を特定できる個人情報は扱わない方針だ。
韓国では1997年のアジア通貨危機後、消費活性化や脱税防止のためカード決済の普及を推進。年間利用額の一部を所得から控除する税制上の優遇措置を取っており、今回、この措置を景気振興策として6月まで拡充する。消費が鈍った飲食・観光業や公演関連の業種を対象に、カード決済時の所得控除の適用率を最大でこれまでの約5倍に当たる80%に拡大し、消費活性化につなげたい考えだ。(ソウル 共同)