海外情勢

新型コロナ対応のなかで病院・研究機関にサイバー攻撃 欧州で続出

 【ロンドン=板東和正】新型コロナウイルスの感染が拡大する中、欧州諸国の医療・研究機関へのサイバー攻撃が相次いで報告されている。感染者を治療する病院やワクチンの研究所がサイバー攻撃で機能が停止するなどの被害を受ければ、新型コロナの収束が遅れる恐れがある。

 チェコ外相「非常に冷酷だ」

 中欧チェコ東部オストラバの大学病院は4月17日、コンピューターのサーバーがサイバー攻撃を受けたと発表した。攻撃は同月、他の病院でも確認された。被害は報告されなかったが、ペトシーチェク外相はツイッターで「新型コロナが蔓延(まんえん)する中での攻撃は非常に冷酷だ」と非難した。

 チェコでは3月中旬にも病院が攻撃された。患者情報が入ったコンピューターの機能が停止し、新型コロナの急患を受け入れられなくなった。攻撃は、コンピューターのデータを開けないようにし、復元のための金銭を要求する「ランサムウエア」だったとされる。

 「チェコへの攻撃を仕掛けたのは中国のハッカー集団の可能性がある」とみるサイバー専門家もいる。首都プラハが北京と姉妹都市協定を解消して1月に台湾の台北と協定を結び、対中関係が悪化したことが要因と指摘される。チェコでは最近、訪台予定の政治家が死去直前に中国大使館から脅迫を受けていたことも判明している。

 同様のサイバー攻撃は他の欧州諸国でも広がりスペインの病院は3月にランサムウエアの攻撃を受け、コンピューターシステムの一部が使用不能になった。フランスの医療機関は大量のデータを送りつけられ、システム運用を妨害された。

 治療遅れ恐れる医療関係者

 こうした攻撃が相次ぐのは、医療関係者がサイバー犯罪者の要求に応じやすいためとみられている。新型コロナ禍の中、ランサムウエア攻撃を受けた病院は、治療に遅れが生じる恐れから、金銭を払ってでもコンピューターの復元を選ばざるを得ない状況に陥りやすい。元陸上自衛隊システム防護隊長の伊東寛氏は「犯罪者にとり今が攻撃の効果を得られる絶好の機会で、医療機関側はサイバー防護のシステム導入などが求められる」と分析する。

 一方、新型コロナのワクチンの試験を行うロンドンの研究機関も3月14日にランサムウエアによる攻撃を受けた。英国のサイバー専門家は「ワクチンや治療薬の情報が悪意のある第三者に盗まれれば、実用化が遅れる可能性がある」と危機感を募らせている。

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