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核燃再処理工場が「合格」 規制委、稼働時期は見通せず

 原子力規制委員会は13日の定例会合で、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の安全対策が新規制基準に適合しているとする「審査書案」を了承した。本格稼働の前提となる審査に事実上合格した。今後、一般からの意見公募や経済産業相への意見照会などを経て、正式合格となる。

 再処理工場では、原発の使用済み燃料から、再利用できるプルトニウムやウランを取り出す。燃料を繰り返し使う国の「核燃料サイクル政策」の中核施設とされ、合格は稼働に向けた一歩となる。ただ、合格後も設備の工事計画の審査が続くため、稼働時期は見通せない。

 核兵器に転用可能なプルトニウムの大量保有は国際社会から懸念を招きかねず、工場が完成しても、どれほど稼働できるかは不透明だ。プルトニウムを使うための高速増殖炉は、研究段階の原型炉もんじゅ(福井県)が廃炉となり、サイクル政策は実質的に破綻している。

 原燃は2014年1月に審査を申請した。耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)を最大加速度700ガルと想定。海抜55メートルにあり、津波の影響は受けないとした。再処理の工程で発生する溶液や廃液が蒸発し、放射性物質が拡散する事故などに備え、冷却設備や電源を強化したとしている。

 13日の会合では、規制委事務局の担当者が審査内容を説明し、5人の委員がそれぞれ重大事故対策などについて問いただした。最後に更田豊志委員長が「審査結果に異存はないと考えてよいか」と問い掛け、委員から異論は出なかった。

 工場は1993年に着工。当初は97年の完成予定だったが、トラブルや東日本大震災の影響で完成時期が計24回延期された。原燃は現在2021年度上半期を目指している。総事業費は13兆9400億円に上る見通し。

 日本原燃の話

 審査書案が了承されたことは大きな前進であり、引き続き、審査合格に向け全力で取り組む。審査で約束した安全性向上対策を確実に現場に反映し、地域の皆さまに安心してもらえる再処理工場をつくり上げていく。

【用語解説】核燃料サイクル政策

 原発の使用済み核燃料からプルトニウムやウランを化学処理(再処理)で抽出し、混合酸化物(MOX)燃料として再利用する政策。燃料の有効利用が目的で高レベル放射性廃棄物の量も少なくなるとされるが、中核となる再処理工場の完成が遅れ、各地の原発で使用済み燃料がたまり続けている。MOX燃料を使う高速増殖炉は、研究段階の原型炉もんじゅ(福井県)が廃炉となり開発が停滞。政府、電力業界は普通の原発でMOX燃料を使うプルサーマル発電を進めるが、東日本大震災以降、実施したのは四国電力伊方原発3号機(愛媛県)など4基にとどまる。

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