国内

首相記者会見全文(9)諮問委尾身会長「BCGが有効とのエビデンスない」

=(8)から続く

--日本がG7(先進7カ国)の中でも死亡者数を押さえ込めたのは、日本人はBCGを受けているからとか、文化的な違いがあるからといった俗説がある

 「私も、そのBCGとの関連等について、もちろん、あの、いろんな説があるということは承知をしております。日本において10万人あたりの死亡者数というのは0・5近辺でありまして、世界でも圧倒的に小さく押さえ込まれていまして、それについてさまざまな議論があるというふうに承知をしておりますが、これはまさに(諮問委員会の)尾身茂会長からご紹介をいただきたいというふうに思います。いずれにいたしましても、現在の感染者数、もちろんこれだけの数の方が亡くなられたことは本当に痛ましいことでありますし、心からご冥福をお祈りしたいと思いますが、われわれも欧米と比べて相当小さく押さえ込まれているこの水準の中において、何とか収束させていきたいと思ってます」

 尾身氏「簡単に、まずは今のところはBCGが有効だというエビデンス(科学的根拠)は今のところございません。それから日米欧との差ですね、これは基本的には私は3つあると思います。一つ目は、やはり日本の医療制度が比較的しっかりして、全部とは、全員とは言いませんけど、多くの重症者が今のシステムで探知できて、適切なケアが行われて医療崩壊が防げているということが1点目だと思います。それから2点目は特に、初期ですね。感染が始まった初期に、いわゆるクラスター(感染者集団)対策というのがかなり有効だったと思います。それから3点目は、これが最も重要かもしれませんけれども、国民のいわゆる健康意識が比較的高いという、この3つが大きな原因だと今のところ私は考えております」

--新型インフルエンザ等対策特別措置法は今の内容で十分か。今後検証するか

 「今ご質問にもあったように、日本、特措法は強制力、欧米に比べて非常にこれは弱いわけでございますが、しかしその中にあっても、国民の皆さまの大変なご協力をいただきました。いわゆる夜の街のクラスター(感染者集団)を防ぐためにさまざまな自粛もお願いをしているんですが、相当程度ですね、自粛もしていただき、また人通りもですね、相当減らすことができました。これはもう皆さまのご協力のたまものであるわけでございますが。その中でですね、どう特措法について考えるかということでありますが、これはまさに今の対応が収束した段階で、より強制力のあるものが必要だったか、あるいはこれから必要かということについては、検証しながら考えたいと思いますが、もちろんそれが必要だっていうときになれば、躊躇なく法改正も視野に入れたいと、こう思います」

 「そしてまた、われわれの戦略としては、なるべくこの感染のピークの山を小さくしていく。それは医療提供態勢の範囲内で対応できる山にしていくということであります。そしてできるだけそれを後ろに倒していくことによって、治療法、お薬やワクチンの開発を進めていくということでありまして。その中におきましては、もちろん大変、医療現場の皆さん、ご努力をいただいて、逼迫(ひっぱく)した状況もございましたが、人工呼吸器、エクモ(体外式膜型人工肺=ECMO)、ICU(集中治療室)等々についてもですね、何とかこの範囲内において、われわれ今、対応することができていると、こう思っております。ただ、次なる山がくることも十分考えられますから、それに対してできるだけ小さくしていくということもそうなんですが、同時に、やっぱり検査態勢も医療態勢もさらに拡充もしていきたいと思っています」

=(10)に続く

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