国内

検察定年延長見送り、戦果で自信深める野党

 政府・与党が今国会で検察庁法改正案の成立見送りを決めたことを受け、主要野党は18日、「民主主義の底力を示した」(共産党の志位和夫委員長)と勢いづいた。ツイッターで改正案に抗議する声が広がったことを追い風に、野党は採決反対を訴えてきたからだ。正面からの政権批判が久々に戦果をあげたことにも自信を深めている。

 立憲民主党・枝野幸男代表「国民は政治を動かす力がある」

 国民民主党・玉木雄一郎代表「ネットで多くの声を上げてもらった成果だ。見送りは画期的だ」

 枝野氏ら野党4党の党首は18日、インターネット番組にそろって出演し、次々と手応えを語った。

 時に足並みの乱れの目立つ野党だが、今回は一致して行動した。武田良太国家公務員制度担当相の不信任決議案を結束して提出するなど、政府・与党に、徹底抗戦を繰り広げた。

 与党は、改正案の処理を秋の臨時国会へと先送りしたが、野党は「本当の解決にはならない」として、改正案から検察幹部の定年延長規定を削除することや、改正案とは直接関係のない黒川弘務東京高検検事長の定年延長の撤回も求めていく方針だ。

 野党としては、支持層である労組などに公務員の定年延長を求める声があり、改正案と一体で審議されていた国家公務員法改正案自体の成立が遅れることは避けたい事情もある。

 野党は今国会で、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」の問題などで政権を追及してきたが、むしろ支持者から新型コロナウイルス対策を優先するよう批判されるなど“不発”に終わっていた。

 だが、今回はツイッターなどで広がった政権批判を後ろ盾として、野党が連携して政府・与党を方針転換へと追い込んだ。従来の「安倍1強」下では考えられなかったような迷走を誘発できたことにも自信を深めている。

 野党は新型コロナの追加対策を盛り込む令和2年度第2次補正予算案の審議では政府・与党に協力する見通しだ。ただ、公職選挙法違反事件で辞任した河井克行前法相らの「政治とカネ」の問題もくすぶる。

 「国民におかしいと声をあげてもらえれば国会の中の数の力でないところで、議会制民主主義が決まる」

 まだ、政府への攻撃材料に事欠かないことも見据えつつ、枝野氏はネット番組でこう力強く語った。

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