海外情勢

米政権、オープンスカイ条約から脱退へ

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権は21日、米露など30カ国以上が軍事活動の透明性向上を目的に非武装の偵察機による領空での監視・査察飛行を相互に認め合うオープンスカイ(領空開放)条約から脱退する方針を決めた。22日に加盟国に通告し、6カ月後に正式に脱退する。

 トランプ政権は米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄を通告し昨年8月に失効させており、相次ぐ軍備管理条約からの離脱に世界の核管理体制などへの悪影響を懸念する声が広がるのは避けられない。

 領空開放条約は、東西冷戦終結後の信頼醸成の向上に向け北大西洋条約機構(NATO)と旧ワルシャワ条約機構の加盟国が1992年に締結し、2002年に発効した。

 トランプ大統領は21日、ホワイトハウスで記者団に、脱退の理由について「ロシアが条約を順守していない。ならば米国も順守しない」と説明し、「ロシアが(条約の取り決めを)確実に履行するまで条約から離脱する」と述べた。

 オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)も同日、INF全廃条約や米国が18年5月に離脱表明したイラン核合意を引き合いに「トランプ大統領は、他国が順守せず、もはや米国の国益にも合致しない国際合意に米国は残らないと明確にしてきた」と強調した。

 ポンペオ国務長官は声明で、ロシアが核弾頭搭載可能な弾道ミサイルを配備しているロシア西端の欧州の飛び地カリーニングラード州での査察飛行が制限されたと批判。同州には欧州全域を射程に収める中距離弾道ミサイルが配備されるとの観測も出ており、米政権は警戒を強めている。

 一方、米政権で核軍縮交渉を担うビリングスリー国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は21日、政策研究機関ハドソン研究所での講演で、21年2月に期限切れとなる新戦略兵器削減条約(新START)について、ロシアとの話し合いは「進展している」と語り、中国を含めた3カ国による新たな核軍縮の枠組みについて協議を重ねていく方針を改めて表明した。

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