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ライブハウスは「3密を楽しむ場」経営者の苦悩

 新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)発生で「3密の象徴」ともされ、緊急事態宣言の解除後も自治体からの休業要請が続くライブハウス。大阪府は29日にも休業要請の解除を判断する方針だが、そもそもが出演者や観客の一体感を楽しむ施設。「早く再開したい。でも今まで通りの営業にはならないだろう」。経営者は期待と不安を口にした。(小泉一敏)

 「これほどの期間、音がならなくなったのは初めて」。800人を収容するライブハウス「BIGCAT(ビッグキャット)」(大阪市中央区)のがらんとした会場を見渡し、経営者の岸本優二さん(45)がつぶやいた。

 3府県で計8軒を経営。ビッグキャットも、ほぼ毎日予定が埋まっていた。状況が一変したのは、2月中旬、大阪市内のライブハウスでクラスターが発生したことだった。予定が次々とキャンセルされた。

 一方、ビッグキャット以外の150人収容の小規模会場では、消毒や換気などの対策をした上でライブを開催。観客の感染が確認された場合に備え、来場者に連絡先の記入も求めたが、4月から府の要請を受けて8軒すべてを休業した。

 売り上げは3月が前年比9割減、4月からの収入はゼロに。賃料だけで月約2千万円にのぼる。社員やアルバイトは約100人だが、照明や音響のスタッフ、飲み物を提供する業者ら、休業が長引くほど影響は多方面に波及する。

 「かつてないほどライブハウスという言葉が使われているが、いい意味でないのは残念だ」

 自身もバンド活動をしていたなど音楽への思い入れは強い。約20年前にライブハウスを経営する父の会社に入社し、関西を拠点に活動する若手が全国へと活動を広げていく姿も見守ってきた。「ライブハウスから育っていくアーティストが多いという大阪の音楽文化も守りたい」と話す。

 休業要請の継続は冷静に受け止めた一方、「今後どのような形で再開できるのか見当もつかない」と不安もある。劇場や映画館のように、収容人数を半分にするのか、公演時間を短縮するのか-。いずれにしても、出演者、運営者にとって苦しい状況が続くことが予想される。

 現在は、動画によるライブ映像の配信など、新たな方法を検討中だ。ただ、「もともとライブハウスはアーティストとファンとの一体感が得られ、3密を楽しむのが醍(だい)醐(ご)味(み)」との複雑な気持ちも抱く。

 「今は耐えるときだが、必ずライブハウスでの音楽が必要になる時期が来るはず」。再び、文化発信の場となる日を願いながら、再開に向けて模索を続けている。

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