国内

メガソーラー規制を強化 住民「災害リスク増」、国が方針転換

 東京電力福島第1原発事故後、全国で急増した大規模太陽光発電所(メガソーラー)の設置計画に、住民が反発するケースが相次いでいる。「災害や自然破壊のリスクがある」との声があり、最も有望な再生可能エネルギーとして普及を支援してきた国も規制に乗り出した。住民側からはより厳しい制度づくりを求める声が上がる。

 福島市の山あいにある高湯温泉からほど近い山林で、民間企業が出力約4万キロワットのメガソーラーを設置する計画が進む。「地元の誰もが『なんでここに?』と思ったはずだ」。麓の集落の佐藤和弘さん(63)は、急斜面を見ながら眉をひそめた。

 計画地内を流れる沢は土石流の恐れがあるとして、福島県が以前から危険地域に指定。昨年の台風19号では土砂や石が県道に流れ出た。「林が伐採されれば雨水を吸収する力が落ちる。いつ土石流が集落を襲うか分からない」。佐藤さんら住民は昨年末、計画中止を要望する署名を県に提出、県は事業者に誠意を持って住民に対応するよう求めた。

 県は2011年の原発事故後、40年ごろまでに県内のエネルギー需要の100%相当量を再生エネで生み出すという目標を掲げた。県内で新たに導入された再生エネの発電施設のうち、フル稼働時の出力量に当たる「設備容量」の7割超を太陽光が占める。担当課は「国の固定価格買い取り制度の下で、設置期間の短い太陽光が急増した」と説明する。買い取り制度開始後、太陽光発電は全国に広がった。だが山間部での開発も増え、住民が土砂災害の恐れや自然破壊を訴えるトラブルが相次ぎ、国は環境影響評価(アセスメント)の対象外だった太陽光についても、アセスの評価対象に加えようと検討を始めた。

 設置計画地を抱える栃木や静岡、三重など10府県の住民団体などは昨年1月、環境省と、発電事業の認可を担う経済産業省に対し、計画地の自治体から要望があった場合は、全てアセスの対象とするよう求めた。ところが国は昨年7月、加える対象を原則、新設される出力4万キロワット以上のメガソーラーまでとした。

 呼び掛け団体の一つ、太陽光発電問題連絡会(長野県)の小林峰一さん(57)は「ほとんどの計画が対象から外れ、各地の問題は解決されない」と批判。「認可前に自治体と情報共有し、地元合意がない事業は認可しないような運用に切り替えてほしい」と訴えた。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus