海外情勢

アフリカで見えぬ新型コロナ感染の実態 原因不明の病死急増、検査不備も

 約13億人が住むアフリカ54カ国で、公式に確認された新型コロナウイルス感染者が20日までに約9万人となった。欧米などに比べて少ないが、ナイジェリアやソマリアでは原因不明の病死が急激に増えており、感染が既に広がっている恐れもある。国や地域によっては検査が追い付かず、実態は不明なままだ。

 「病死者が急増している」。ナイジェリア北部カノで4月下旬、遺体の埋葬従事者の証言が報じられ住民に衝撃が広がった。警察幹部ら有力者も相次ぎ死亡したという。

 地元保健当局は「慢性疾患が原因だ」との見方を示し、感染の有無を検査せず埋葬。だが感染拡大への住民の懸念を受け、世界保健機関(WHO)と共同で調査に乗り出した。

 ソマリアの首都モガディシオでも、葬儀業者から「普段の10倍近い遺体を扱った」との声が上がった。現地在住の国際機関職員は「検査態勢が整っていない。実際の感染者は公式発表よりはるかに多いはずだ」と話す。

 アフリカの大半の国では、スラムや難民キャンプに住民が密集し保健医療も脆弱(ぜいじゃく)だ。ロイター通信によると、人工呼吸器は10万人当たり1台未満で、ギニアビサウには1台もないという。「最悪の事態に備えないといけない」(ケニアのケニヤッタ大統領)と各国は危機感を抱き、移動制限を課して早期に対策を開始。南アフリカは大規模な検査を実施するなど、多くの国が積極的に取り組んできた。

 一方、タンザニアのマグフリ大統領は、検査機関が出す陽性判定について「(国への)妨害行為だ」と非難、対策を軽視するかのような発言を繰り返してきた。メディア規制が横行する国々では、感染者数の発表が適正に行われていない可能性もあり、公式データへの信頼は低い。

 WHOによると、54カ国で確認された死者は約2900人。9万人以上が死亡した米国などを大幅に下回る。

 「アフリカは重症化しにくい若年層が多く、事態は深刻化しない」との楽観論もある。だがWHOは5月7日の声明で「感染者が爆発的に増えなくても、流行はくすぶり続けるだろう」と強調、対策に失敗すれば「1年で最悪19万人が死亡する可能性がある」と警鐘を鳴らした。(共同)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus