高市早苗総務相は9日の衆院予算委員会で、災害時などの現金給付のため検討しているマイナンバーと預貯金口座のひも付け義務化に関し、1口座だけを対象とする方針を明らかにした。個人が持つ全ての口座の登録義務化は、国民の資産状況への監視が強まるとの懸念に配慮し、見送る。
関連法改正案を来年の通常国会に提出する方向だ。マイナンバーと口座情報のひも付けで、給付の際、自治体が口座を把握する手間が省け、手続きが迅速化できる。
全口座情報を登録することで税の徴収や生活保護の支給判定を効率化するとの議論も政府内にはあるが、実現はさらに遠のく。
高市氏は「1口座のみマイナンバーを付番して登録していただく制度に発展させることができればプッシュ型の給付や行政コストの削減が可能になる」と強調した。
新型コロナウイルス対策として全国民に10万円を配る「特別定額給付金」は事業開始から1カ月以上過ぎているが、総務省の最新集計では全世帯の約3割への給付にとどまる。遅れの背景には、政府や自治体が振込先の口座を事前に把握できていないことがある。
自民、公明、日本維新の会の3党は8日、本人の同意を前提として、マイナンバーを活用して政府による現金給付を迅速化するための法案を国会に提出した。他の野党から賛同を得られる見通しが立っておらず、今国会での成立は困難な情勢だ。