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ネット広告、政府が中間報告 公正性や透明性が不可欠

 政府のデジタル市場競争会議は16日、急速に発展するインターネット広告の課題や対応の方向性を整理した中間報告をまとめた。巨大IT企業の影響力が増す中、市場の健全な発展には公正性の確保や透明性の向上が不可欠だと強調。ネット上の閲覧や購買の履歴から個人の好みを推測して表示する「ターゲティング広告」は、初期設定に盛り込まないことを事業者側に求めるといった規制も今後の検討対象になるとした。

 中間報告に関する意見募集を近く開始し、国内外の関係者との議論も行う。会議の議長を務める菅義偉官房長官は「この冬の最終報告に向け具体的なルール設計を進める」と話した。

 中間報告では、ネット広告には閲覧数の水増しなど「質」の面で多くの問題があると指摘。分かりやすい情報開示や、実態をつかみやすいような仕組みの導入が検討の選択肢だとした。

 ネット広告の基盤を提供する事業者が、システムやルールの変更を取引企業に十分に説明しないまま行っているとの不満があることも指摘。変更の際の事前通知や、手続き面で公正性を確保することを挙げた。

 ターゲティング広告をめぐっては、消費者の7割が「煩わしい」と感じているとの調査結果を紹介。事業者に対し、初期設定に盛り込まないことに加え、ターゲティング広告のためのデータ収集や利用について事前に設定を変えられる選択肢を消費者に示すよう求めることも視野に入れる。

 日本のネット広告費は年々増加しており、2019年に初めてテレビ広告費を抜いて全体の3割を占めた。

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【用語解説】インターネット広告

 ネット上に展開され、パソコンやモバイル端末で閲覧する広告。2019年の国内ネット広告費は前年比で約2割増の2兆1048億円と、広告費全体の約3割にまで成長。ネット広告の中では、モバイル向けの割合が高い。利用者の興味や好みに合わせた広告が掲載できる強みを持つ検索連動型広告と、動画広告の伸びが顕著で、いずれも巨大IT企業がサービス面で圧倒している。

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