生かせ!知財ビジネス

サービス底上げへ新団体、特許庁と意見交換も

 世界中の政府、医療・研究機関、企業の研究・技術者は今、新型コロナウイルス解決への情報を得るため、あらゆるデータベースを検索している。その一つ、特許情報を扱う日本の知財情報サービス業界で、新団体を立ち上げる動きが出てきた。サイバーパテント、日本パテントデータサービスなど知財情報サービス関係10社は、「日本知的財産情報サービス事業者協議会(JIPISA)」(仮称)の今夏設立を目指し、調整を始めている。

 狙いは、知財情報サービスの向上、普及によって産業界などに貢献することだ。例えばコロナ対策に有効な技術や特許に何があるのか、どの企業が開発し権利を保有しているのかを調査するには、グローバルで正確なデータの確保と整備、付加価値の高い検索・分析サービスの開発と提供が必要になる。

 発起人であるサイバーパテントの高野誠司社長は「業界が切磋琢磨(せっさたくま)し、専門性を磨いてサービスの底上げと業界全体の投資効率向上を図りつつ、各界各層への認知拡大を図りたい。会員は広く募り、将来的にはサービス利用者側との意見交換の場も設けられれば」と話す。

 実は、高野社長が示す業界には特許庁も含まれている。同協議会は民間組織となるが、特許庁との意見交換の場を形成することも設立の狙いの一つである。特許庁は現在、インターネットで「J-PlatPat」という知財情報サービスを無料で提供している。前身は1999年開始の「IPDL」というサービス。20年以上にわたり、有料の民間サービスとの間で、競合してきたとも言える。

 2002年以降、国の委員会や審議会などで知財情報に関する官民サービスのあり方が論議され、「国は基本的なサービスでユーザーの裾野を広げ、高度なサービスを求める利用者層には民間が対応する」というすみ分けの考え方が定着。一方、ITが急速に進歩し、特許庁の提供する基本的なサービスのレベルが自然と底上げされ、同時に民間側はさらに高度なサービスの開発、新たな投資が必要になった。「民間と公的機関とで認識を合わせていくことは必要だと思う。既に特許庁関係者と話し合いを始めている」と高野社長は語る。

 本来、グローバルな特許情報を扱う知財情報サービス業界。海外では、知財業界のデジタルトランスフォーメーションを宣言する大手知財サービス会社も出てきており、さらなる競争の時代に入りつつある。日本の知財情報サービスの高度化に期待したい。(知財情報&戦略システム 中岡浩)

 

新団体の主な概要

 ・知財情報サービスを提供する法人を会員とする任意団体

 ・業界発展とサービスの普及によって産業界に貢献する

 ・会員相互の情報・意見交換を行う場とする

 ・官民サービスについて特許庁などと意見交換の場を形成する

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