海外情勢

FRB議長、低迷の長期化回避に全力 市場介入への懸念否定「巨象ではない」

 【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は16日、議会の公聴会で証言した。新型コロナウイルス流行後の景気回復にもたつけば、「雇用が永遠に失われたり、企業が倒産したりすることで長期に渡るダメージを受ける」と指摘。経済低迷の長期化を回避することを優先し、政策を総動員する方針を示した。

 パウエル氏は上院の銀行住宅都市委員会に出席。5月の失業率や小売売上高が好転したことを踏まえ、景気が最悪期を脱し、「立ち直りの初期にある」との認識を示した。

 ただ、「景気回復の時期や力強さに大きな不確実性がある」と強調。「人々が感染症の封じ込めに確信を持てるまで完全な景気回復は見込めない」と述べ、経済活動が活発化するかどうかは、コロナの流行状況に左右されるとした。

 FRBは先週示した経済見通しで、2020年の米実質国内総生産(GDP)をマイナス6・5%と予測した。パウエル氏は予測の前提について、流行「第2波」が起きることを想定したものではないと認めた。米国では南部を中心に感染者数が増加傾向で、本格的な第2波が起きれば成長率が下振れする恐れがある。

 FRBは、事実上のゼロ金利政策や、国債を買い入れる量的緩和を実施。社債の購入や、中堅・中小企業への融資など、企業の運転資金を直接、支える緊急対応にも乗り出している。

 パウエル氏は、こうした対応策が市場機能をゆがめかねないとの指摘があることをめぐり、「FRBが巨象のように債券市場を踏みにじろうとしているとは思わない」と懸念を否定。中央銀行が政府の財政赤字を穴埋めする「マネタイゼーション」についても、「FRBの意図するところではない」と語った。

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