海外情勢

エジプト、マスク義務化、貧困層に負担 衛生意識も低く定着困難

 新型コロナウイルスの感染が広がるエジプトが、5月末からマスク着用を義務化した。しかし貧困層の購入負担は重く、着用を嫌がる人も。実際の感染者数は発表よりはるかに多い11万人超との見方もあり、人口約1億人の同国で「新たな日常」を定着させるのは難しそうだ。

 「無料でないと着用しない」。カイロの20代警備員、アブハフェドさんは断言した。月収1000エジプトポンド(約6600円)の半分が家族4人分のマスク代に消える計算だからだ。市場や電車などで着用しないと最大4000エジプトポンドの罰金が科されるが、アブハフェドさんは「食費も不足している」と困り果てている。

 エジプトは約3000万人が極貧。経済悪化を避けるため外出制限を十分にせず、感染者は3万7000人を超えた。病院に行かない貧困層の感染把握は容易ではなく、担当閣僚のアブデルガファル氏は「実際のエジプトの感染者数は11万人を超え、今後100万人に達する可能性がある」と述べた。

 感染拡大を横目に、政府は飲食業などの再開を検討。これに合わせて打ち出した対策がマスク義務化で、外交筋は「感染を抑える頼りになると思いたい」と期待を託す。

 カイロでマスク姿の市民は増えているものの、人混みでもマスクをずらして会話を楽しむ人が少なくないのが現状だ。40代の技師、ムハンマド・アイマンさんは「マスクの価格が問題ではなく、市民の衛生意識が低い。これでは新たな日常とは言えない」と話した。(カイロ 共同)

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