海外情勢

感染者急増の州も…米国、コロナ封じ込め策成否にばらつき

 【ニューヨーク=上塚真由】新型コロナウイルスの感染者が220万人を超える米国で、各州の封じ込め策の成否にばらつきが目立っている。経済再開に慎重だったニューヨークなど北東部の州では改善傾向がみられるものの、いち早く経済活動を再開し、マスク着用などの感染防止策が徹底していなかったフロリダ、テキサス、カリフォルニアなど南部や西部の州で新規感染者が急増。「第2波の兆候」(米メディア)として警戒が高まっている。

 「われわれは最悪だったが、今やどの州、国よりもウイルスにうまく対処している」。ニューヨーク州のクオモ知事は19日、同州の新型コロナ対策を自賛した。この日で111日間続けてきた毎日の会見をいったん終了。同州の1日当たりの死者数はピーク時800人近かったが、20日は15人に減少、検査件数(6万7526件)に占める感染率も1%を下回っている。

 同州では5月中旬以降、地域ごとに事業規制を段階的に緩和し、最も被害が大きかったニューヨーク市でも今月22日、第2段階として飲食店の屋外席やオフィス、理髪店、小売店が再開。「感染は終わったわけではない」(クオモ氏)として引き続き、感染率などを注視する方針だ。

 一方、21日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、南部、西部、中西部の18州で感染が増加傾向にあり、うち12州では1週間以内に、1日当たりの感染者数が過去最多を記録した。

 なかでも、「米国の次の感染中心地」(専門家)と警戒されるのは南部フロリダ州だ。同州では5月初旬にいち早く経済活動の再開に踏み切ったものの、6月に入り感染が急拡大。デサンティス知事は、急増の要因を検査体制の拡充のためと説明しているが、20日の検査件数(約4万1000件)に占める感染率は約12%と高く「再開計画はうまくいっていない」(米メディア)との批判が上がる。

 米国最多の人口を誇る西部カリフォルニア州でも、5月8日の経済再開後、感染防止策が州民に徹底されず、感染が再拡大。同州のニューサム知事は今月18日、「第1波も乗り越えられていない」と危機感を示し、外出の際にマスクを着用するよう義務付ける命令を出したが、21日には1日当たりの感染者が過去最多の4515人を数えた。

 南部テキサス州は5月1日に経済活動を一部再開したが、人の移動が増え、ビーチなどで海水浴客がひしめく様子が問題に。20~30代の若者層の感染増加が目立ち、6月20日に発表された1日当たりの感染者数は4430人で過去最多となった。同州では入院患者数も急増しており、危機感を持った地元自治体は16日にマスク着用の義務付けをアボット知事に要請。アボット氏は応じておらず、自治体側からは「抑止策が不十分」と批判があがっている。

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