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再び脚光浴びる中国・海南島 中央政府の展望と思惑は

 中国の海南島が再び脚光を浴びている。もともとは広東省の一部だったが、1988年に省として独立し、経済特別区にも指定されて開発が始まった。それから30年余り、確かに観光地としては大いに発展したものの、一方では不動産がらみの投機活動が盛んで、さまざまな不祥事も生んできた。その海南島を今度は「自由貿易港」とし、さらなる発展を目指すというのだが、中央政府にはどのような展望と思惑があるのだろうか。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 中国政府は6月1日に「海南自由貿易港建設全体方案」を発表した。2025年までに貿易・投資の自由化を進め、自由貿易港としての初歩的な体制を構築し、さらに35年までに一層の開放政策を展開し、高水準な自由貿易港の実現を目指す。

 だが、疑問としてまず浮かんでくるのは、貿易・投資を自由化するといっても、どのような産業を想定しているかということだ。海南島は基本的には農業が中心である。そのほかでは、観光産業が大きな収入源となっているくらいである。国家発展改革委員会の林念修・副主任は、この点について会見で、「観光業、現代サービス業、ハイテク産業を大いに発展させ、実体経済の基礎を一歩ずつ固めていく」と苦しい答弁をしている。

 一部には香港が混乱しているので、香港に取って代えようとしているのではないかとの憶測も出ているが、とても難しかろう。海南島には香港のような金融を発展させていく基盤はないし、深セン・広州(広東省)のような製造業の発展した後背地もない。

 懸念されるのは、不動産投機をさらに助長させるのではないかという点だ。海南省では、大規模な土地開発が進められたものの、未使用で放置された土地があちこちにあり、問題になってきた。地元政府はかなり整理したと言うが、それでもなお、多くの土地が処理されずに残っている。

 北京大学国家発展研究院の姚洋・院長は、不動産転がしをやっている連中には、もっと課税を強化すべきだと主張している。それでなければ、観光業にしても健全な発展は期待できないというわけだ。

 もっとも中国ではまだ、不動産税がない。当局は制定に向け準備しており、今年の全国人民代表大会(全人代)に上程される可能性もあったが、新型コロナウイルスの発生でそれどころではなかった。だが課税が強化されれば、投機資金が離散し、かえって発展が止まってしまうかもしれない。

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