新型コロナウイルス感染者が世界全体で800万人を超えた。全土封鎖を2カ月以上続けたインドでも約34万人に急増し、医療危機が現実味を帯びる。重症患者が病院をたらい回しにされ、ベッド確保に高額を要求する病院があるとの指摘もあり、当局は対応に躍起だ。
「ベッドが闇取引されている」。デリー首都圏政府のケジリワル首相は6日、険しい表情で語った。ケジリワル氏によると、新型コロナ感染で家族を入院させたいと病院に電話したところ、一度断られた後、80万ルピー(約110万円)を請求されるケースがあった。20万ルピーを求められた男性もいるという。
首都圏政府は新型コロナ感染者向けの入院病床数を公表し、16日現在では1万床強のうち4600床余りが空いていた。累計感染者数は7月末までに55万人に達すると予測しており、首都圏の外から来る患者も考慮すると15万床が必要になるとしている。
首都圏政府はホテルや宴会場を簡易病棟とし、中央政府から計8000床を備える改造寝台列車500両の提供も受ける。ケジリワル氏は10日、「前例のない厳しい試練に直面している」と表明した。インド人医師からは、病床が足りても医療従事者が不足するとの懸念が出ている。
首都圏では、病院5カ所を回った末に死亡した感染者の男性(47)も。地元紙によると、親族が1日、発熱して呼吸困難となった男性を病院へ連れて行ったが、最初の2カ所は新型コロナの検査設備がなかった。
3カ所目では当初、ベッドがないとされたが、頼み込むと入院保証金5万ルピーを請求された。入院して3日に陽性と判明したが、感染者用のベッドはないとして治療を拒否された。
4カ所目の病院では集中治療室(ICU)の空きがないとされ、5カ所目へ。到着から約2時間半、ほとんど処置を施されることのないまま、息を引き取った。親族は事態の深刻さを訴えている。
世界保健機関(WHO)関係者は5月初旬、インドの状況について「封鎖が解除されれば感染者は増える。7月末ごろにピークとなるだろう」と地元テレビに語っていた。段階的な経済活動の再開や封鎖の解除に伴い、患者は急増。数週間のうちに減少に転じなければ制御できなくなる、との見方も出ている。(ニューデリー 共同)