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新型コロナで異例頻度の記者会見 首相が伝えたかったこととは (2/2ページ)

 反転攻勢の機会

 首相周辺が反転攻勢に期待をかけたのが6回目となる5月4日の会見だった。緊急事態宣言は同月31日まで延長されたものの、ゴールデンウイークの人出は抑えられ、34県では外出自粛や施設使用制限を一部緩和した。やっと見えた明るい兆しだった。首相は新規感染者数が減少したことを「成果」と述べ、協力した国民に感謝した。

 しかし、会見終了後、政府高官は「首相の会見、ツボにはまってなかったな。もっと解除に向けての希望を持てるような演説にするべきだと思ったけど…」と表情がさえなかった。政府内には全国一律の宣言延長に慎重な意見もあったが、あまりに前向きな側面を強調すれば、国民の警戒心が緩む恐れもあった。

 この後、首相は新型コロナ以外の問題で逆風を受ける。5月中旬になると検察官の定年を延長する検察庁法改正に反対の声が高まった。14日には39県で宣言が解除され、首相は同日の会見で「新しい日常」へのスタートを宣言した。政権浮揚のチャンスでもあったが、同日の会見では検察庁法改正に批判的な質問が相次いだ。

 発想を変えて…

 5月14日の会見以降、各種世論調査で内閣支持率は大きく下落した。だが、同25日には宣言が全面解除され、新型コロナをめぐる対応はひと段落することになる。都市封鎖(ロックダウン)や強制措置をとることなく、国内の死者数は欧米諸国と比べるとはるかに低い水準で感染収束に行きついた。首相は同日の会見で「日本モデル」の成功を強調し、こう続けた。

 「ここから先は発想を変えていきましょう。社会経済活動を厳しく制限するやり方では私たちの仕事や暮らしそのものが立ちゆかなくなる」

 政府はイベントや外出の自粛要請を段階的に解除する目安を示し、首相は令和2年度第1次、第2次補正予算を合わせて事業規模計200兆円超の経済対策で「100年に1度の危機から日本経済を守り抜く」と強調した。

 首相の言葉通り、日本社会は発想を変え、新型コロナ以外の問題にも関心が向けられていく。

 前法相で衆院議員の河井克行容疑者らの公職選挙法違反事件、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画停止、北朝鮮による拉致問題、首相の自民党総裁4選、ポスト安倍、朝鮮半島危機…。6月18日に行われた通常国会閉会後の記者会見は、それ自体として重要ではあるが、新型コロナとは直接関係ない質問が大半を占めた。

 とはいえ、感染の第2波、第3波はおそらく日本にも押し寄せる。

 首相は18日の会見で、未来投資会議を拡大して来月から「新たな国家像」を検討すると発表し、「感染症に強い国づくりに着手しなければならない」と呼びかけた。この首相の言葉に耳を傾けた国民はどれだけいるのだろうか。(杉本康士)

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