国内

「鯨食文化」復活の成果見えず 商業捕鯨再開1年 問われる妥当性

 日本が国際捕鯨委員会(IWC)から脱退し、31年ぶりに商業捕鯨を再開してから7月1日で1年がたつ。極めて異例の強硬策に打って出たが、若者の鯨肉離れで国内の「鯨食文化」復活は遠く、成果は見えにくい。新型コロナウイルス感染症も逆風だが、政府は将来的な捕獲枠拡大を視野に入れる。反捕鯨国からの批判が再燃する懸念は拭えず、国際協調路線に影を落とした政策判断の妥当性が改めて問われる。

 日本は2018年12月、IWCに脱退を通告し、19年6月末に脱退した。1982年、IWCで商業捕鯨の一時停止が採択され、88年に商業捕鯨から撤退。再開に必要なデータ収集のための調査捕鯨を続けていた。

 IWCは新型コロナ感染防止のため、今年9月に開催する予定だった総会を1年延期。日本は投票権を持たないオブザーバーとして関与を続ける方針だが、反捕鯨国との溝は埋まっていない。

 水産庁は20年の捕獲上限をミンククジラ、ニタリクジラ、イワシクジラの3種で計383頭と設定し、調査捕鯨での18年度実績の6割程度に抑えた19年から実質的に据え置いた。操業海域は日本の領海と排他的経済水域(EEZ)に限定。調査捕鯨で展開していた北西太平洋などの公海での操業について、可否を慎重に見極める構えだ。

 北海道、宮城県などの沿岸操業の拠点や、EEZ内の沖合操業による商業捕鯨は本格化した。ただ、新型コロナによる外食低迷は鯨肉需要に響きかねない。調査捕鯨で年2500トン前後だった国内市場への鯨肉供給量は3分の2程度に減るとの見方もあり「捕獲枠拡大が必要だ」(捕鯨業者)との声は強まっている。

 政府は19年度に続き20年度も、捕鯨業者支援に向けた経費として51億円を予算計上したが「いつまでも特別扱いできない」(水産庁幹部)との指摘もある。

 早稲田大の真田康弘客員准教授(環境政策)は「EEZ内だけでは独立採算の操業は厳しく、公海に出れば反捕鯨国が黙っていない。八方ふさがりの状態だ」として捕鯨戦略の実効性に疑問を投げ掛ける。

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