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東京都知事選で有権者は小池都政継続を選択 コロナ禍と五輪、難局の2期目

 新型コロナウイルス感染拡大の状況下で実施された5日投開票の東京都知事選では、現職の小池百合子氏(67)による都政継続が選択される情勢となった。コロナ対応を前面に打ち出して支持を訴えてきた小池氏だが、選挙戦終盤に新規感染者数が100人を超えたことで感染症との戦いの難しさが改めて浮き彫りになり、経済的なダメージと対策費膨張は今後の財政運営に影を落とす。感染拡大防止と経済社会活動の両立、東京五輪・パラリンピックの準備と向き合う2期目は難局が想定される。(高久清史、大森貴弘)

 「下がらない」。緊急事態宣言解除後、小池氏が周囲に厳しい表情を見せるようになったのは6月下旬に入ってからだったとされる。行政に協力的なホストクラブの集団検査による感染判明が多くないときも、新規感染者数が50人前後から60人台の日が続いた。

 今月2日には一気に107人に跳ね上がり、3日124人、4日131人と増加。複数の都幹部は「想定外の急増だ」と驚きを隠さなかった。

 6月の「東京アラート」発動などを通じて夜の街での3密回避などを呼びかけてきたものの、夜の街関連の数字が全体を押し上げてきた。会食を通じた感染も目立ち始め、感染経路不明の人数(7日間平均)は4日公表分で34・6人。都関係者は「市中感染も懸念されるが、どのような対策が効果的なのか頭を悩ませている」と話す。

 4月の感染拡大時に踏み切ったような幅広い分野の業種、施設を対象にした休業要請は経済に与えるダメージに加え、都の財政状況からしても今後は困難とされる。休業要請への協力金制度などコロナ対策費は1兆820億円に達し、貯金にあたる財政調整基金の残額は807億円にまで落ち込んだ。

 都税収入は景気変動の影響を受けやすく、今後、大幅減が想定されている。リーマン・ショックの影響で平成21年度は前年度から約1兆円減少しているが、都庁内ではコロナ禍ではさらに深刻になるとの見方が広がる。収束しない限り、対策費は膨らみ、減収が長引く恐れがある。

 来年夏に延期された東京五輪・パラリンピックの追加経費の負担も重くのしかかる。小池氏はこれまで「都民、国民の理解を得るために簡素化し、費用を縮減する」などと話してきたが、「安全・安心な東京五輪」の輪郭はまだ見えていない。

 都関係者は「費用分担で国と強い姿勢で交渉し、都民に丁寧に状況を説明する必要がある。対応を誤れば、批判の矛先は都に向かう」と懸念する。

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