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コロナ後の世界 日本は「資本主義4.0」で圧倒的に有利だ (1/3ページ)

 これから世界はどう変わっていくのか。大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「ポストコロナの時代に、資本主義は第4ステージ(「資本主義4.0」)に入る。この資本主義4.0と日本の資本主義は親和性が高い。日本は圧倒的に有利だ」と指摘する--。(※本稿は、熊谷亮丸著『ポストコロナの経済学 8つの構造変化のなかで日本人はどう生きるべきか?』(日経BP)の一部を加筆・再編集したものです。)

 8つのグローバルな構造変化が起きる

 筆者は、人類の感染症との闘いは長期化することに加えて、ポストコロナの時代は、それ以前と全く異なる世の中に変わると考えている。

 ポストコロナの時代は、

(1)「グローバル資本主義」からSDGsを中心に据えた「ステークホルダー資本主義」への転換

(2)格差拡大を受けた、反グローバリズム・ナショナリズム台頭のリスク

(3)米中対立が激化し、「資本主義vs共産主義」の最終戦争へ

(4)グローバル・サプライチェーンの再構築

(5)不良債権問題が深刻化し、潜在成長率が低下

(6)財政収支が軒並み悪化し、財政政策と金融政策が融合に向かう

(7)リモート社会(非接触型社会)が到来し、企業の「新陳代謝」が重要となる

(8)中央集権型から分散型ネットワークへの転換

 という8つのグローバルな構造変化が起きると予想している。すなわち、「新常態(ニューノーマル)」と呼ばれる全く新しい世界が始まるのだ。以下では、この「8つのグローバルな構造変化」の中身と対応策をピックアップして見ていくことにする。

 「新自由主義・グローバル資本主義」は下火に

 ポストコロナの時代に予想される第1のグローバルな構造変化は、資本主義の変容、すなわち「利益至上主義からSDGsを中心に据えた資本主義へ転換」である。

 2000年代に入り加速した、株主の近視眼的な利益だけを過度に重視する「新自由主義・グローバル資本主義」が大きな転換点を迎え、中長期的により持続可能性が高い、従業員や顧客、取引先、地域社会、地球環境、将来世代などさまざまな側面にバランスよく目配りをした「ステークホルダー(利害関係者)資本主義」が主流になると考えている。

 一口に資本主義といっても、米国に代表される「アングロサクソン型」、ドイツに代表される「ライン型」、「日本型」といったさまざまなタイプが存在するが、ポストコロナの時代には、こうした資本主義のさまざまなタイプが、ひとつの方向に収斂していく。現状、各国が抱える課題はさまざまだが、その行き着く先には、多様なステークホルダーが対話を通じて持続可能性の高い価値を創造する、新たな資本主義の姿が想定される。

 そのなかで、中核的な役割を果たすことが期待されるのが、SDGs(Sustainable Development Goals)である。SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された、2016年から2030年までの「持続可能な開発目標」を指す。

 SDGsの最大の特長は、「未来のあるべき姿(理想像)」を掲げた上で、「バックキャスティング」的な思考で、そこから逆算して、現在なすべきことを考える点にある。この思考法は、現在を起点に、現在の延長線上に想定される未来を考える「フォアキャスティング」的な思考とは根本的に異なっている。

 そのため、SDGsで掲げられた17のゴールと169のターゲットは、社会的課題の解決に取り組む多くの企業にとって、経営の羅針盤のような役割を果たすことになる。

 カネより人間中心の「資本主義4.0」へ転換

 先ほど、資本主義は大きな転換を迎えていると述べたが、この構造変化は、数百年単位の時間軸で捉えるべき性質のものだ。

 資本主義の歴史を極めて単純化すると、「資本・株主・お金」と「労働・従業員・ヒト」という2つの座標軸で整理できるのではないかと考えている(図表参照)。すなわち、「『資本』と『労働』のどちらを重視するのか?」という枠組みのなかで、資本主義は過去数百年間、揺れ動いてきたのである。

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