経済インサイド

政権が重用の経産省、コロナ対策で正念場「何をしても批判される」 (2/2ページ)

 そして、中小企業に重くのしかかる店舗や事業所の賃料を支援する家賃支援給付金も、経産省が担当している。もともと与党が検討していただけに、その意向を反映する必要があるが、自民と公明の両党で意見の食い違いがあったため、制度設計は難航。テナントと家主には特殊な賃貸契約もあり、給付額の算出も一通りではないことが設計さらに難しくしている。経産省はもともと、6月中の実施を目指してきたが、7月以降にずれ込んだ。

 令和2年度第1次補正予算には持続化給付金とGo Toが、2次補正には追加の持続化給付金と家賃支援給付金が盛り込まれた。その総額は約8兆円。1兆2000億円程度である経産省の当初予算額の7倍に相当する。Go Toは結局、3省で分ける形になったが、経産省が一手に担おうとしたことが結果的に、事業の遅れにつながった格好だ。家賃支援給付金も、給付を受ける対象が中小企業だったため、不動産を所管する国交省ではなく経産省が担当することになった。

 持続化給付金に対する批判には「中抜き」など的外れなものも多いが、当初、事業の運営体制に関して経産省が説明を怠ったのは明らかだ。「自分たちさえ知っていればいい」という傲慢な姿勢は、同省が平成29年から記者らが入れないように執務室を施錠していることにも端的に現れている。安倍首相の側近を官邸に送り出し、政権に重用されてきた“特権意識”が背景にないとはいえない。

 経産省の委託事業は公共工事と異なり、引き受ける能力と意思がある民間事業者は限られるため、普段から一定のコミュニケーションを取る必要性があるとみられる。そういう事情を差し引いても、同省と電通や協議会との関係の近さは野党だけでなく、国民の疑念を増幅させるのに十分だった。ある企業関係者は「経産省は使い勝手のいい電通に頼り、競合できる事業者の育成を怠ってきた」と指摘する。

 経産省は6月25日、委託事業全般のあり方を見直す有識者会議の初会合を開いた。だが、透明性確保が当面の苦境を乗り切るための方便に終われば、同様の失敗を繰り返すのは必至だ。(経済本部 高橋寛次)

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