10%シェアは低下へ
しかし、この数字がどこまで現実的かといえば否定的な理由がいくつも出てくる。まず実現性だが、現在の日本で原子力規制委の審査を通りながら周辺自治体ないし住民の合意がとれず稼働していない原発が7基もあり、合意を今後どのように得るかが問題になる。また仮に合意が得られたとしても、過去の好調時と同じ80%という高い稼働率を回復できる保証は全くない。
第2に、この計算には現在まだ原子力規制委の審査を通っていない原発が5基430万キロワット含まれているが、そのすべてが審査を通過し、さらに周辺自治体ないし住民の稼働への合意を得る可能性は相当低いだろう。
第3に、この10%シェアという数字は30年の電力需要が現在以上に増えない、という前提に基づいているが、民生需要の電化進展や電気自動車の普及などを考えると人口の減少を考慮しても電力需要が増加する可能性は十分にあり、そうなれば10%シェアは低下せざるを得ない。
そして、政府の2030年計画をみると電力での原子力比率は20~22%と10%の2倍以上である。このギャップをどうするのか。こうした原子力の将来問題の困難さを政府も、そして世間もあらためて認識し、その回復への道を現在からただちに探索すべきでないか。筆者はそれを強く願うものだ。
【プロフィル】茅陽一
かや・よういち 東大工卒、同大学院修了。東大電気工学科教授、慶大教授を経て、1998年地球環境産業技術研究機構副理事長、2011年から現職。84歳。北海道出身。