高論卓説

「現代版ABCD包囲網」進む コロナ・香港問題で深まる2強対立 (1/2ページ)

 米、「ドル決済禁止」で中国封じ込み

 米中の対立とデカップリング(経済関係の断絶)が激しさを増している。貿易戦争から始まった米中対立は、新型コロナウイルス問題でさらに激化し、香港問題により後戻りのできない状況になった。米中に関しては、連日、新規制や法の適用が発表されているが、理解するためには基本的な国際ルールと米国の仕組みを知る必要になる。

 米国は日本と違い大統領制であり、大統領は一般教書演説以外議会には参加しない。基本的に法律を作るのは議会の役割であり、大統領は直接的に関与しない。ただ、大統領は国家元首であり、軍の最高司令官でもあるため、大統領令により広範囲の権限を保有する。米議会は毎年度、国防という安全保障に関する方針と予算を一体化させたNDAA(国防権限法)を制定し、ホワイトハウスにその履行を求める形になっている。

 そもそも論であるが、米中貿易戦争はNDAAに基づく部分が大きく、トランプ大統領の気まぐれや思い付きによるものではない。2018年8月、米国議会はNDAA2019を成立させ、輸出管理改革法(ECRA)により輸出管理の強化(新COCOM体制の構築)と中国華為技術(ファーウェイ)など5社に対する規制を決めた。また、外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)により、中国による重要インフラや先端技術の買収を制限することを決定した。トランプ氏はこの議会の決定に従っているにすぎない。

 そして、米国の規制は、NDAAを根拠にし、安全保障上の理由としている。安全保障上の理由は世界貿易機関(WTO)が定めた「21条」により、規制や差別的扱いが許されており、国際法に沿ったものになる。その上で、輸出管理の強化を進めている。

 米国は4月、輸出管理規則を強化し、中国をロシアなどと同じ最も厳しい管理分類にした。また、最終利用者の確認に関しても厳格化し、「軍事エンドユースの支援を目的とした活動 または機能を担うあらゆる個人・機関」を輸出管理の対象にした。その上で、ファーウェイなど中国の「一帯一路」に関わるインフラ企業など20社を軍の支援を受けている会社と指定し、事実上の輸出禁止にした。

 この場合の輸出とは単にモノの輸出だけではなく、技術の輸出が含まれるため、事実上、協力関係を持てなくなったといえる。

 また、NDAAでは中国軍から支援を受けている人に関しても入国拒否を求めており、輸出管理の強化により、モノと人の分断が進んだといっていいだろう。

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