国内

途上国へのコロナ対策支援、90カ国以上に スピード重視で貢献

 政府が新型コロナウイルスの感染対策として実施している途上国への医療支援が、90カ国以上に達したことが分かった。医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な途上国への支援を急ピッチで進めることで、世界的感染の封じ込めを図りたい考えだ。新型コロナ収束後の国際社会を見据え、日本の存在感を高める狙いもある。政府関係者が20日、明らかにした。

 東南アジアやアフリカ、島嶼(とうしょ)国などの途上国に、救急車や集中治療室(ICU)ベッド、サーモグラフィーなどの医療機材を無償資金協力で提供する。支援対象国は20日時点で93カ国に上り、このうち47カ国とは既に正式に書簡を交わしている。1カ国当たりの供与額は1億~20億円程度で、最終的に100カ国程度まで増やす方針だ。

 外務省は「途上国の感染拡大防止は相手国や在留邦人だけでなく、日本への感染流入を予防する観点からも重要だ」と説明する。

 重視したのは支援を決めるまでの「かつてないスピード」(茂木敏充外相)だ。無償資金協力は通常、相手国と合意するまでに早くても3カ月程度を要する。今回は今年5月から多数の途上国と同時並行で調整を進めており、早いケースでは1カ月程度でまとめている。支援内容は相手国の要請を基に決定するが、日本側から早期実現が可能なメニューを提示するなどして調整にかかる期間を短縮している。

 新型コロナの発生源となった中国は「マスク外交」を進めたが、支援物資の品質の問題なども指摘された。日本は目先の支援にとどまらず、質の高い国内メーカーの医療機材を中心に提供することで、相手国の医療体制の底上げに貢献したい考えだ。国内メーカーが途上国で認知されることで、ビジネス拡大につながることも期待されている。

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