政府の観光支援事業「Go To トラベル」への対応を議論した19日の全国知事会会合では、東京を除く全国一斉実施への不安がにじんだ。背景には、新型コロナウイルスで大打撃を受けた地域経済再生への切実な期待と、人の往来再開に伴う感染拡大への警戒感との間で揺れる知事たちの苦悩がある。
「観光の需要喚起は県内や近隣県から段階的に広げるべきだ。感染状況や地域の実情を踏まえ柔軟な対応を求める」(花角英世新潟県知事)
「全国一律は無理。近隣県からの開始が実態に即しており、予算を地域に回してほしい」(川勝平太静岡県知事)
会合では、政府が22日から始める予定の同事業に対し、感染防止のため運用上の工夫を求める声が相次いだ。ただ事業の中止や延期を求める意見はほとんど出なかった。
疲弊した地域経済回復の起爆剤として、早期実施を望みたいのが知事側の本音。西脇隆俊京都府知事は「観光客と受け入れ施設、地元住民の3者が安心して受け入れ、楽しめる環境を整えることが重要」と強調。蒲島郁夫熊本県知事は「感染防止と経済回復のベストバランスを図ることが重要だ」と話し、旅行者に感染予防対策の徹底を呼び掛けるとした。
東京発着旅行が除外されたことについては「観光需要拡大の点からは残念だが、感染拡大防止や住民の安心安全を考えると理解できる」(浜田省司高知県知事)と、国の判断に賛同する意見が目立った。
一方、思惑外れに困惑の声も上がった。東京からの誘客を見込んだ山梨県の長崎幸太郎知事は「東京除外は大変残念」と落胆。全国での一斉実施に向け、知事会と東京都が一緒に感染拡大の防止策に取り組む必要性を訴えた。
広瀬勝貞大分県知事は、大阪府など東京以外の地域での感染拡大を念頭に「他の地域に感染が広がった場合、国の決定を待つのではなく、知事会として強く(移動の)自粛を求めるべきだ」とし、対応が後手に回ることを懸念した。河野俊嗣宮崎県知事は、コロナ対応をめぐり「国と地方が責任を言い合う場面がクローズアップされ、国民の不信感を増幅している」と指摘。「知事会として、今こそ地に足がついた取り組みを情報発信する必要がある」と冷静な対応を呼び掛けた。